アイテム番号: SCP-911-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-911-JP-Aは電池を抜いた状態で、オブジェクト収容金庫へ保管してください。
SCP-911-JP-Aを用いた実験はすべてのケースで、医療検査を終えた被験者で行います。これは被験者がDクラス職員であっても同様です。
実験の申請は、被験者の診断書とともに担当職員へ申請してください。実験後の被験者は希望がある場合、Cクラスの記憶処理を受ける事ができます。
説明: SCP-911-JPは緊急用呼び出しボタンの形状をしたSCP-911-JP-Aと、ボタンを押した際に出現するSCP-911-JP-B及びSCP-911-JP-Bが出入りするSCP-911-JP-Cで構成されます。
SCP-911-JP-Aは9V角形電池の入る電池ボックスがあり、規格に対応した電池を入れる事で活性化します。活性化した状態で何らかの怪我、病気を持つ被験者が素手でボタンを押すと、部屋の出入り口(SCP-911-JP-Cとなります)よりSCP-911-JP-Bが現れます。被験者が全くの健康体である場合や、ロボットアームを通した操作であった場合は特に何の反応も示しません。また、一度被験者となった人物が再度ボタンを押した場合も同様に何も反応を示しません。
SCP-911-JP-BはSCP-911-JP-Aで呼び出される医師(SCP-911-JP-B-1)及び看護師(SCP-911-JP-B-2以降)です。SCP-911-JP-Bは呼び出した被験者を診察し、症状に応じた外科手術を被験者の意思とは無関係に行います。SCP-911-JP-Bの手術はほとんどのケースで部分麻酔で行われ、被験者は手術の一部始終を目視する事が可能です。が、SCP-911-JP-Bによる手術手順は一般的なそれではなく、目視した被験者は大きな精神的負担を伴います。手術により診察された病状、怪我は治りますが、甚大な手術痕を残す結果となります。詳細は実験記録、映像記録を参照してください。
術後SCP-911-JP-Bによる被験者へのアフターフォローはありません。
SCP-911-JP-CはSCP-911-JP-Bが部屋を出入りする境界です。これは部屋についている開口部であればどんなものでもよく、ドア、窓、排気口等様々なものがSCP-911-JP-Cになり得ます。また、開けた先が外へ通じているかは問いません。
SCP-911-JP-Bの動作を制止させる試みは、職員への精神干渉によりすべて失敗に終わっています。SCP-911-JP-Bへ干渉しない場合、職員の同席は特に注意を払われず、ビデオ撮影も可能です。
補遺: 実験記録
注: これは実験の記録です。映像記録は別記を確認してください。
実験記録911-1 - 日付2███/██/██
対象: D911-1 健康なDクラス職員です。職員が同席し、無線カメラで実験風景を撮影。
実施方法: D911-1にSCP-911-JP-Aのボタンを押させる。
結果: 反応無し。
実験記録911-2 - 日付2███/██/██
対象: D911-2 風邪気味との申告がありました。
実施方法: D911-2にSCP-911-JP-Aのボタンを押させる。職員が同席し、無線カメラで実験風景を撮影。
結果: SCP-911-JP-B-1、-2、-3がSCP-911-JP-Cより現れました。D911-2に対し診断と手術を行い、3時間後にSCP-911-JP-Cより去りました。
分析: SCP-911-JP-Aは健康な人間には反応しないようですね。病気の被験者のみ反応するのでしょうか。
メモ: 手術風景について、無線カメラで撮影していたところSCP-911-JP-B-1より「無線で計器が不良を起こしかねない」と制止されました。撮影していた職員は素直にカメラの電源を切り、撮影をやめています。もっとも、手術中の光景は撮影されなくてよかったかもしれません。
実験記録911-3 - 日付2███/██/██
対象: D911-3 風邪気味との申告がありました。
実施方法: D911-3にSCP-911-JP-Aのボタンを押させる。職員が同席し、有線カメラで実験風景を撮影。また、武装した職員を4名配備し、SCP-911-JP-Bの行動を制止させる。
結果: SCP-911-JP-B-1、-2、-3がSCP-911-JP-Cより現れました。SCP-911-JP-B-1の診察を妨害したところ、SCP-911-JP-B-2、-3にたしなめられました。たしなめられた職員は素直に従い、診察の妨害をやめるように同席した他の職員へも提案、他の職員たちも素直に同意をしています。SCP-911-JP-BはD911-3に対し診断と手術を行い、4時間後にSCP-911-JP-Cより去りました。
分析: SCP-911-JP-Bは診断、診察への妨害について、精神干渉により防御をしているようです。職員へのインタビューより、精神干渉は局所的なものであった事が判っています。
メモ: 風邪による鼻炎の治療が、あれ程の手術になるとは考えてもみませんでした。
メモ2: 以後の実験はすべて、特記しない限りビデオ撮影が行われています。
実験記録911-4 - 日付2███/██/██
対象: D911-4 風邪気味で熱があるとの申告がありました。
実施方法: D911-4にSCP-911-JP-Aのボタンを押させる。また、武装した職員を4名配備し、銃器によりSCP-911-JP-Bの無力化を試みる。
結果: SCP-911-JP-B-1、-2、-3がSCP-911-JP-Cより現れました。SCP-911-JP-B-1に対し発砲をしたところ、診察の邪魔をした事に対し叱責され邪魔をしないようたしなめられました。たしなめられた職員は素直に従いました。SCP-911-JP-BはD911-4に対し診断、肺炎であるとしてと手術を行い、D911-4の肺を摘出し[編集済み]。6時間後にSCP-911-JP-Cより去りました。
分析: SCP-911-JP-Bは少なくとも、小銃レベルの火器に対し耐性があるようです。爆弾や毒ガスへの耐性は現状不明ですが、その実験について得るものがあるとは思えません。
メモ: 被験者の肺炎は治療されたものの、大きな精神的負荷を残す結果となりました。今後の実験については、事前に精密検査を受けた被験者で実施されるべきです。
メモ2: 以後、特記しない限りSCP-911-JP-B-1は-2、-3を伴いSCP-911-JP-Cより現れていること、術後にSCP-911-JP-Cより去る事を留意してください。
実験記録911-5 - 日付2███/██/██
対象: エージェント・██ 本人による希望。事前の精密検査で健康体であるが、左側奥歯に虫歯と、右足首に軽いねんざがある事が判っています。
実施方法: エージェント・██にSCP-911-JP-Aのボタンを押させる。
結果: 被験者の虫歯、ねんざは手術により治療されました。ただし口の際より耳の下まで頬を切開されたため、人相に著しい影響が出ています。ねんざの治療は患部を切開され、腱へ直接炎症止めと思われる薬が投与されました。
分析: 一連の実験より、治療はされるものの明らかに被験者のその後を考慮しない手術を施しているように思えます。
メモ: エージェント・██へは再三忠告をしました。
実験記録911-6 - 日付2███/██/██
対象: 財団のフロント企業が経営する病院より提供された一般人。重い心臓病を患っており、財団の精密検査でも裏付けられています。
実施方法: 被験者にSCP-911-JP-Aのボタンを押させる。
結果: 事案911-ほを参照してください。
分析: 被験者の心臓病は治療されました。ただ、それだけです。
メモ: SCP-911-JP-Bにとって、今現在直面している病状を解決する事以外は心底どうでもいいのでしょう。
今後の実験について、必ず被験者の精密検査の結果を伴い、██博士まで申請を行ってください。
担当研究員の判断のみでは実験の許可は出せません。
- O5-██
実験記録911-7 - 日付2███/██/██
対象: D911-7 脳に腫瘍があります。精密検査でも裏付けられ、その他の病気、怪我はありません。
実施方法: N/A
結果: N/A
分析: N/A
メモ: 実験の申請は却下いたしました。 - ██博士
付記: 実験映像の閲覧を希望される職員は、██博士まで申請してください。
補遺: 事案911-ほ
SCP-911-JP-Bによる治療の限度を知るため、財団のフロント企業が経営する病院へ被験者の提供を申請しました。結果、現在の医学では治療が困難とされる、重い心臓病を患った██歳の少女が提供されました。病状については財団の精密検査でも裏付けられています。
少女と家族へは治療は失敗するかもしれない事、命の保証は出来ない事、成功しても病院への長期入院が必要な事について同意書を取り、被験者となって貰いました。
被験者の呼び出しに応じSCP-911-JP-Bが現れ、診察が行われました。SCP-911-JP-B-1は臓器の移植が必要である旨を宣告し、手術を始めました。被験者に全身麻酔を施した後、SCP-911-JP-B-1は自らの胸部を切り開き、明らかに通常の物とは異なる大きさの心臓を取り出しました。取り出された心臓は被験者へ移植されましたが、患部へ入りきらない部分は外へ露出しました。
術後、被験者の健康状態は良好ですが、露出した心臓は徐々に肥大化をし、被験者の胸部を侵食し始めました。このため、被験者は新たにSCP-911-JP-Dと指定されました。
実験より半年後、SCP-911-JP-Dについて得るものが無いと判断され、終了されました。
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