SCP-913-JP
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アイテム番号: SCP-913-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-913-JPに該当する商品が販売されていた場合、該当商品を回収しカバーストーリー『異物混入』を流布して発売を中止させてください。回収した商品、及び財団の管轄内で作成されたSCP-913-JPは一時的に保管し、表面に腐敗が見られた時点で焼却処分を行ってください。

SCP-913-JP-1の管理担当者1は、SCP-913-JP-1に不快感を与えないよう一般人として接してください。また、管理担当中の職員には定期的にインタビューが行われます。SCP-913-JP-1の消失が確認された場合は、次の管理担当に指定されている別の職員へ管理担当を引き継いでください。

説明: SCP-913-JPは、日本国内でドギーコープ株式会社から201█年5月に販売されていた胡桃入り食パンです。1袋につき山型の食パンが2枚入れられた状態で販売されており、食パンの表面には会社を示すものと思しきロゴマークが印刷されています。また、SCP-913-JPと同様のロゴマークを通常の食パンに印刷することで、その食パンもSCP-913-JPと同様の異常性を有します。

人間の男性(以下、対象と記述する。)がSCP-913-JPを摂食すると、対象は24時間以内にSCP-913-JP-1との遭遇イベントが発生します。この遭遇イベントは主に対象の学校に転校、職場に就任などで対象と密接になるのに自然な関係として遭遇するパターンが多く、またその状況に適した形でSCP-913-JP-1の記録に関する過去改変が行われます。SCP-913-JP-1は「原野」という名字の人間の女性として、対象と親密な関係として最も適した役割を有しているように認識災害を発生させています。この認識災害は対象以外の全ての人物に有効であり、対象のみSCP-913-JP-1の認識災害の影響を受けません。

SCP-913-JP-1は、メスのニホンジカ(学: Cervus nippon)の成体です。SCP-913-JP-1は人間の女性に沿った行動パターンを行いますが、身体の動作はニホンジカに基づくため料理などの一部の行動で失敗するパターンが多く見られます。しかしこれらの失敗を目撃しても対象以外の人物は違和感を抱くことはなく、認識災害によってSCP-913-JP-1を「ドジをすることの多い女性」として認識します。SCP-913-JP-1は対象に対して好意を抱いており、そのアピールを頻繁に行います。SCP-913-JP-1は写真や動画、文章などの媒体ではニホンジカとして投影されますが、SCP-913-JP-1が出現している間はそれらの媒体を介しても対象以外は人間の女性として適した状態で認識します。

SCP-913-JP-1は、対象がSCP-913-JP-1にとって不快と思われる行動を複数回起こすことで消失します。SCP-913-JP-1が消失すると認識災害に陥っていた人物のSCP-913-JP-1に関する記憶に変化は起こりませんが、SCP-913-JP-1が記録されたメディアではSCP-913-JP-1をニホンジカとして認識することが可能になります。

オブジェクトの発見経緯 - 201█/5/13~201█/5/17
201█年5月13日、奈良県の██中学校に在学している複数の生徒がメスのニホンジカを被写体とした画像を「原野ちゃんがシカになった」といった内容の文章と共に複数のSNSサイトに投稿しており、財団はそれに注目しました。財団職員は██中学校の調査を行った所、男性生徒の村岡██氏(当時14歳)が画像の発見の4日前より「教室内でシカがうろうろしてる」と他の生徒に訴えており、異常性に深く関わっていた人物と推測しインタビューを行いました。しかし当時は、このインタビューだけでは異常性の解明には至りませんでした。

201█年5月14日、広島県の警察署に「職場にシカが新入社員としてやってきた」という異常な通報が届き、財団は奈良県の██中学校で発生した事案と関係があると推測し、通報者である会社員の上田██氏(当時27歳)をサイト-81██にて保護しました。上田氏からは早急にインタビューを行う予定でしたが、精神状態が不安定だったため一時的に保留。保護から3日目にインタビューに支障がないレベルまで精神状態が安定したと判断され、インタビューが行われました。

再度別の職員が上田氏とインタビューを行った結果、村岡氏と上田氏は共にニホンジカと遭遇する前にドギーコープ株式会社から販売されていた食パンを食べていたことが判明し、財団内でこの製品の異常性が確認された後にSCP-913-JPに指定しました。

またSCP-913-JP-1の出現中にSCP-913-JPを摂食しても新たなSCP-913-JP-1が出現しなかったため、SCP-913-JP-1の個体は1体のみ存在していると推測されます。

補遺1: 201█年5月20日よりSCP-913-JP-1の特別収容プロトコル案として、複数の職員が交代で連続的にSCP-913-JP-1の対象を請け負う計画が実行されました。管理担当となる職員は本人の希望により決められ、SCP-913-JP-1が消失した場合は早急に次の管理担当者にSCP-913-JPを摂食してもらいます。また、この管理担当者は当時Dクラス職員を起用していましたが"脱走記録-D54489-1 201█/6/12"の発生以降、Dクラス職員を起用することは禁止されました。

補遺2: 201█年8月14日より春日井博士がSCP-913-JP-1の管理担当となりましたが、春日井博士の助手として出現したSCP-913-JP-1である「原野博士」は現在においても消失が確認されていません。現在もインタビューを行い続け、SCP-913-JP-1に関するインタビューを定期的に行っています。

インタビュー記録[Dr.春日井]039 - 201█/5/14

対象: 春日井博士

インタビュアー: 浅井研究員

<録音開始>

浅井研究員: 今日でSCP-913-JP-1の管理担当になってから39回目のインタビューになります。春日井さん、今日も宜しくお願いします。

春日井博士: あぁ、よろしく。

浅井研究員: 単純計算で、あれから実に39週近くSCP-913-JP-1が消失せずに存在し続けてることになりますが……あれからSCP-913-JP-1との関係は、上手くいってますか?

春日井博士: あぁ、いつも通りにな。お前達には彼女がどう見えるのか、私には分からないがな。

浅井研究員: そうですね、我々の方ではいつものように……ニホンジカとしてではなく、貴方の助手の原野博士として……貴方と仲睦まじく……そういう関係であると、見て取れます。

春日井博士: そうか、それなら良かった。実際に、彼女とは上手くいってるよ。

(浅井研究員は左手で顎を押さえ、視線を落とす。)

浅井研究員: ……つかぬことを聞きますが、分かるものなんですか?

春日井博士: それはつまり、彼女が私をどう思ってるか、のことか?

(浅井研究員は黙りながら頷くと、春日井博士は小さく笑ってから頷いた。)

春日井博士: 私たちは長い間、愛し合ってるんだ。もう彼女の顔を見ただけで、何を想ってるのか手に取るように分かるよ。

浅井研究員: しかし貴方から見れば原野さんは……いえ、この話は止めておきましょう。

春日井博士: 浅井くん、相手の姿がどうであろうと関係ないさ。まぁ確かに、最初は苦労したな。彼女の気持ちが上手く掴めないのだから。

浅井研究員: えぇ。ここまでSCP-913-JP-1が消失しないのは珍しいことです。今までの管理担当者である職員たちは、10日も持たないで失敗してますからね。

春日井博士: (小さくため息を吐く)時間交代制の施設の浴場に入ろうとしたら彼女とばったり出会ってしまったり、彼女の手作りのヨモギの葉入りクッキーを食べて目の前で吐いたり、彼女の約束をすっぽかしたり。みんな彼女に対して酷いことをしてきたが、私はそれを責めたりはしないよ。なにせ彼女の心を読むのは難しいからね。しかし私は紳士として、彼女の期待には全力で応えてきたよ。

浅井研究員: 春日井さんはどうやって原野さんの……SCP-913-JP-1の期待に応えていったのでしょう?

春日井博士: なぁに、難しいことではない。今までの管理担当者の記録を読み、彼女の好み、趣味、こういう時にどうしてほしいのかを頭に叩き込んだ。時には私に通じない言葉で口約束をすることもあるようだが、そういう時は身近な友人に相談すればいい。友人は何故だか、何でも知っている。約束事だけではなく、彼女の機嫌などもね。

浅井研究員: なるほど……春日井博士がSCP-913-JP-1の管理に関して惜しみない努力をして下さっているのは、大変感謝しています。それでは、報告は以上になりますか?

春日井博士: あぁそういえば……ひとつ、相談してもいいか?

浅井研究員: はい?なんでしょうか。

春日井博士: 最近の彼女、ちょっと様子がおかしくてな。体調が悪いというか……。

浅井研究員: 続けてください。

春日井博士: 寝付けはいつも通りに見えるんだが、不眠状態のように具合を悪そうにしている。それに前までそんなことはなかったが、すぐに疲れを感じて吐くことも増えている。それに……まるで今までの自分の体じゃないみたいに、上手く動かせてないような、ぎこちない様子も目立つな。

浅井研究員: なるほど……もしかしてですが、人間としての行動に限界を感じてる、というのがあるのかもしれないですね。こんなにも長い期間SCP-913-JP-1が存在し続けていることは異例ですし、SCP-913-JP-1にとって相当負担なのでは?

春日井博士: 私も、そんな気はしていたが……やはり、そうなんだろうか。

(春日井博士は頭を抱え、俯いて黙り込む。)

浅井研究員: 念の為、インタビューを終えたらSCP-913-JP-1の身体検査を行ってみましょう。もしかしたら、他の原因があるのかもしれません。

春日井博士: そうだな、そうであってほしい……。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後SCP-913-JP-1の身体検査を行った所、SCP-913-JP-1は妊娠していることが判明しました。

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