SCP-917-JP
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アイテム番号:SCP-917-JP

オブジェクトクラス:Safe

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SCP-917-JP

特別収容プロトコル: SCP-917-JPはサイト-8181の標準収容ロッカーに一般的な防湿・防虫処置を施した上で保管されます。人体とオブジェクトの直接接触は避け、専用機器による遠隔もしくは間接的手法による取り扱いを行ってください。SCP-917-JPとの接触者(SCP-917-JP-1)は早急にSCP-917-JPの影響下から隔離した上で各種検査とカウンセリングの適用を推奨します。

説明: SCP-917-JPは中国服の女性を象ったとみられる座高25.4cmの人形です。彩色された木彫りの頭部と絹・木綿生地と綿などから構成された胴体を持ち、左足には小さく「たのしい時間よいつまでも!」という文章が刻まれています。これらの材質には特筆すべき特徴はみられませんが、頭部に植え付けられている毛髪はモンゴロイド人種の人毛である事が判明しています。

SCP-917-JPを所持1した人間は客観的に「落ち着いた」様子を見せ、積極的な行動をとらなくなります。この際対象者は外部からの接触と刺激に対して非常に鈍感となり、食事や排泄といった生理的行動や、問いかけへの返答などは行うものの、その反応は非常に薄くぼやけたものです。この状態の人間をSCP-917-JP-1とします。

SCP-917-JP-1は一種の幻覚と思われる効果により、第三者からは一切の行動が確認されないにもかかわらず、主観的には平常時と同様の移動や運動・娯楽・食事といったアクティブな行動をとれるかのように認識します。この際SCP-917-JP-1が体感する環境は現実の同時刻におけるその場所と対応しており、「身体」は一切移動していないにも関わらずその状況を体感的に把握することができます。また、SCP-917-JP-1に外部から加わった刺激はSCP-917-JP-1の主観的な光景に影響を与える事が分かっています。例として実験室内にてSCP-917-JP-1との会話を行い、SCP-917-JP-1が主観的には屋外にいた場合、この会話は屋外にてその人物と行ったものとして認識されます。

SCP-917-JP-1が体感している時間の経過は非常に遅く、検証により現実のおおよそ40倍ほどに引き延ばされた時間内での行動が可能であると推測されています。2SCP-917-JP-1の体感する時間経過と現実の時間経過には大きく差がありますが、何故外部からのコンタクトを時間的相違無く認識・反応出来るのかは分かっていません。また対象者がSCP-917-JP-1となっている間、その身体には異常な速度での老化が確認されており、この老化の進行は上記のSCP-917-JP-1の時間認識と相当したものと考えられています。長期のSCP-917-JPの所持の間、SCP-917-JP-1の身体に存在していた疾患等もこれと相応した病態の進行を見せます。しかしこれが直接の死因となる例は現在確認されておらず、身体そのものの老衰により死亡するまでSCP-917-JP-1は生存を続ける事が分かっています。ただし、ある程度進んだ病状を見せるSCP-917-JP-1からSCP-917-JPを隔離する事により、対象者に想定される通りの苦痛と症状が現れました。これが末期症状であった場合、多くの場合対象者の死亡に繋がります。

SCP-917-JPは長崎県██市の医療施設にて長期入院患者であった████(当時10歳)によって所持されていました。元来の持病に加え████は20██年より原因不明の早老症と考えられる病態を現しており、その異常な症状と死亡が財団に報告された事が回収に至るきっかけとなりました。後記の資料から推察するに、この「早老症」はSCP-917-JP-1への変化に伴う副作用的効果であったと考えられます。████は持病によりその生活のほとんどをベッド上で過ごす上、自主的な行動が困難であったためにSCP-917-JPと長期の接触に陥ったと考えられます。

補遺: 回収文書

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