SCP-922-JP
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エージェント北川が作成したと主張する資料。実際には消失していたため、これは当人の記憶を頼りに再現したものである。

アイテム番号: SCP-922-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-922-JPを未然に防ぐための研究は進行中です。現在の収容プロトコルでは、SCP-922-JP発生に際しての対応に焦点を当てています。

経営状態にあるすべての動物園は、財団による監視を受けます。SCP-922-JP発生が判断出来た際には代替の動物が配置され、曝露者には適切な記憶が挿入/削除されます。

可能な限り、動物園に潜入中のエージェントはSCP-922-JPについての説明を受けて下さい。現在、新たなエージェントの動員、カント計数機の設置が検討されています。

説明: SCP-922-JPは動物園から動物が瞬間的に消失する現象です。SCP-922-JPが発生する動物園及び次の発生までの間隔について規則性は発見されていません。ただしSCP-922-JPは一般客の監視下に無い状態にのみ発生する事が明らかになっています。

SCP-922-JPによって消失する動物の種類は無作為だと推定されていましたが、最近の研究によってある程度の規則が解明されています。現時点で確実な規則として、既にSCP-922-JPで消失したことのある種族は、今後のSCP-922-JP発生において消失対象に選ばれにくい傾向にあります。

SCP-922-JPは限定的な記憶改竄/認識汚染を帯びており、当該動物園の職員を異常な記憶/認識に曝露させます。曝露者はSCP-922-JPによって消失した動物を、"公的な手順によって他の動物園に移送された"と知覚します。曝露者はこの知覚の作用として、虚偽でありながらも綿密な記憶を持ち合わせます。この記憶は他の曝露者達と共通しており、移送先の動物園の名前や、いつ問題の動物が移送されたのかなどの詳細な項目も完全に一致しています。曝露者は証拠の不足などの矛盾を指摘されると、中度の混乱に陥ります。これは自身の記憶が虚偽のものであると勧告された人間の反応パターンにおいて典型的なものです。

SCP-922-JPは██動物園に潜入していたエージェント北川の報告によって発見されました。エージェント北川は自身が送ったと認識していた月例報告と、実際に送信されていた月例報告の相違から異変に気付きました。追加の調査でSCP-922-JPの存在、異常性が発覚し、収容プロトコルの策定に至りました。

SCP-922-JPの正確な発生時期は不明です。調査ではエージェント北川が報告したSCP-922-JPより前に発生していたSCP-922-JPは、2件のみ発見されています。エージェント北川は収容対象の早期発見に貢献したとして、暫定ながらも所属サイトからの評価を受けました。

日本で発生したSCP-922-JP(抜粋):

発生した動物園 消失した動物 備考
愛知県 ██動物園 ライオン(Panthera leo) SCP-922-JP確立後の捜査によって発見された一件であり、確認された限りでは最も過去に発生していたSCP-922-JP。当動物園の曝露者によって案内資料が掲示されていたため、プロトコルに沿って処理された。
大阪府 ██動物園 アライグマ(Procyon lotor) エージェント北川の潜入していた動物園で発生したもの。一般客に情報が開示される前に処理は完了した。
東京都 ██動物園 ジャイアントパンダ(Ailuropoda melanoleuca) 当該動物の希少性故に早急な置換が行われ、曝露者の記憶汚染は速やかに除去された。
北海道 ███動物園 エゾユキウサギ(Lepus timidus ainu) 従業員が飼育業務を行っていた最中にSCP-922-JPが発生。従業員は直前まで当該動物と接していたにも関わらず、SCP-922-JP発生に驚いた反応を示さなかった。

インタビュー記録922-C7

対象: エージェント北川

インタビュアー: 浜崎博士

付記: このインタビューはSCP-922-JPへの曝露者が抱く記憶認識について、詳しく理解するために実施されました。エージェント北川は事前に自身が曝露者である旨の説明を受けています。

<録音開始, 20██/██/█>

浜崎博士: それではインタビューを開始します。当時の状況について詳しく聞かせて頂けますか?

エージェント北川: 正直、今でも自分の記憶が偽物だったとは信じ難いです。私は移送に関わる業務も行っていました。あの動物園で、アライグマは私の担当でしたから。

浜崎博士: しかしあなたも他の人間も、異常には気付けていなかったのですよね?

エージェント北川: 変な言い方ですが、あの時は異常では無かったんです。すべて実在していました。私は移送先の動物園の役員達にも会いましたし、移送手続きの資料もこの目で見ました、移送当日も見送っていました。何より、私はその移送のことも財団に報告しました。"了解"の返事も貰っているんです。

浜崎博士: そのような報告は受けていませんね、あなたはただ"異常なし"と報告しているのみです。

エージェント北川: つまりは、それも含めてすべて虚偽の記憶なのでしょうね。ただ……すみません、納得が行かなくて。私としては、これは記憶改変ではなく現実改変の類だと捉えています。

浜崎博士: そのように思うのは無理もありません。虚偽の記憶は長期間に渡っていますし、私たち収容チームの方でも広い視野で研究を進めています。しかし、カント計数機をそう気軽に使用したり、設置できるわけではないのです。参考までに、相手の動物園や役員の名前など、思いつく限りの情報を挙げてくれませんか?

エージェント北川: 分かりました。

[後の調査でエージェント北川の報告した動物園、役員の名前は実在していないことが判明した。]

浜崎博士: その役員に何か不審な点はありましたか?

エージェント北川: いえ。今から思い返してみても普通の人間だったと思います。オフィスで話して、実際にアライグマを見せて……その後は動物園を散策した後に帰っていきました。

浜崎博士: では、移送当日まで動物に何か異変はありましたか?

エージェント北川: それも……注意を向けていたわけではありませんが、異常はありませんでした。当日も移送されていって……相手の動物園が実在しないことに気付いたのはもっと後になってからでした。私は目の前に映る現実を疑うことが出来ませんでした。あのアライグマは何か感じ取っていたかも知れません、でも訴えかけることは出来ないでしょうね……動物ですから。

浜崎博士: ありがとうございます、インタビューは以上です。

<録音終了, 20██/██/█>

終了報告: エージェント北川の主張は██動物園の従業員の主張と概ね同じものでした。エージェント北川は記憶処理を受けずに潜入活動に戻ることを希望し、承認されました。また、当オブジェクトにの異常性が記憶改変ではなく現実改変である疑いが持たれましたが、カント計数機の使用コストの問題で捜査は優先されません。

補遺1: 2016/07/14、エージェント北川が潜入活動中に突然消失しました。██動園内の監視カメラによると、エージェント北川はこの異常事態を全く予測していない模様でした。当該動物園の従業員はエージェント北川の消失を"他の動物園への短期配属"だと捉えていました。追跡の試みは、すべて問題の動物園が実在しないという結果に終わりました。

補遺2: エージェント北川の消失から█ヵ月後、エージェント北川のGoogleアカウントに以下の画像が送付されました。メールアドレスは本人のものが使用されており1、結果的に追跡の試みは失敗しています。

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