SCP-937
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"中空柱"になったSCP-937の実例

アイテム番号: SCP-937

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 数点のSCP-937が標本としてメラネシアの[編集済み]に位置するサイト92に保存されています。サイト92は現地政府によってユネスコ世界遺産に登録されており、財団の研究者やセキュリティスタッフといった一部人員以外は立入禁止となっています。野生下に存在するSCP-937の巣は隔離及び焼却されることが望ましいです。

説明: SCP-937は"絞め殺しの木"1と呼ばれる植物の一種です。Ficus watkinsiana2の近縁種で、[削除済み]の中のFicus formicidae(イチジク属アリ種)として分類されています。SCP-937の生活環は他の"絞め殺しの木"とほとんど似通っていますが、その生殖方法が独特です。

SCP-937は成熟すると開花し、SCP-937-2と呼ばれる果実を結び始めます。花は一般的なイチジクの生態と違い、自家受粉をしているように見られます。"果実"は5cmほどに成長し、頭部・胸部・腹部及び6本の脚を備えた昆虫のような外観になります。SCP-937-2はセルロース製の外骨格、気門、心臓に相似した器官を備えています。解剖学的構造は昆虫に似ていますが、消化管を欠いています。SCP-937-2の背中には羽のような葉状の組織が生えています。個体が熟すと薄い繊維質が固くなり、カエデの種子のような形になります。

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動植物を探しまわる役割に派生したSCP-937-2

完全に成長した個体は一旦親の木から分離し、その周囲を歩いて世話を始めます。SCP-937-2は植物や動物質を探し回り、それらをSCP-937が寄生する木やその周囲の植物に肥料として与えます。SCP-937-2の"果実"は様々な役割に派生し、いくらかアリの社会に似た挙動を示します。親のSCP-937は巣箱と女王の両方の役割を果たします。

SCP-937-2はまた、一部のアリと同様に毒針を持ち、彼らの種の外部に対して攻撃的に振る舞います。毒針に刺された箇所は迅速に壊死を引き起こし、果実たちは協力することで小型の哺乳類さえも圧倒します。幸いにも、毒針は人体に対しては痛みをもたらすのみで命の危険はありません。適切に警戒することで攻撃を回避できます。

熟したSCP-937-2はできうる限りの高所へ登り、他の木に向かって滑空します。そこで発芽し、やがて正常な着生植物と同様に地面から葉の上までを根で覆い尽くします。他の"絞め殺しの木"と同様に、SCP-937は着生した木を取り囲み、やがて殺します。SCP-937-2の攻撃的な性質が合わさることで、SCP-937は他の種を踏み台にする非常に有害な雑草となりえます。

実験ログ937-1:

日付: 19██/██/██、██ヶ月の期間
対象: SCP-937の標本2点, 受精済みのハキリアリの女王20匹
手順: メラネシアの[編集済み]に巨大な樹木園を建設。安定した環境下にSCP-937とハキリアリを導入。
詳細: 成功したハキリアリのコロニーが3つ発見され、拡大を始めました。SCP-937は2つ共に成熟して実を結び、"果実"はやがて徘徊を始めました。二つの種は当初互いを無視していましたが、ある時ハキリアリがSCP-937の影響下の木から葉を収穫しようと試みました。するとSCP-937-2は新たな派生形として熟し、SCP-937たちは協力してハキリアリのコロニーを撲滅すると共にエリア全体を積極的に支配し始めました。██週間の後、アリのコロニーは根絶され、島の自然環境の大部分がSCP-937によって支配されました。

SCP-937の主任研究員である████████博士の命令により、実験場は遠隔操作によって破壊され、一切の生存物を残さず焼き払われました。

補遺937-3: サイト92内の[削除済み]における土壌サンプルが不規則さを示したため、サイト内の全ての植物資料は適切な隔離を受けています。 -████████博士、4/937

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