SCP-943-JP
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アイテム番号: SCP-943-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-943-JP各個体は個別にクラスB以上の耐衝撃性能をもつ収容ロッカーに収容されます。SCP-943-JP-1を用いる実験時を除いて10体以上のSCP-943-JPを同時に収容ロッカー外に出すことは認められません。万が一SCP-943-JPの関係が疑われる事件が発生した場合は被害者を回収し、カバーストーリーの流布と人型オブジェクトの標準捜索手順を実行してください。

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インタビューを受けるSCP-943-JP-1

説明: SCP-943-JPは自律的に行動するブリーフパンツです。素材はナイロンなどの非異常な合成繊維で、形状はタグがないことを除けば███社の販売しているブリーフパンツとほぼ同一ですが、同社の発売する他のブリーフパンツに異常性は確認されていません。現在収容されているSCP-943-JPは37体です。

SCP-943-JP各個体は自律移動が可能です。移動方法は各個体によって異なり、回転・滑走・跳躍・蠕動運動・[削除済]などが確認されています。自律移動は主に他のSCP-943-JP個体との合流のために行われ、目的地との間に障害物がある場合は極力対象を破壊しないよう移動させたり、回避したりします。ただし、やむを得ない場合は障害物の破壊を試みることがあります。各SCP-943-JP個体は他個体の位置を視覚等に頼らず察知できることが判明しています。

SCP-943-JPは37体集合したとき、擬態を開始します。各個体は自身を引き延ばしたり縮小させたりしながら組み合わさり、体長150 cmほどのヒト型を形成します。形成直後は元のブリーフパンツ同様白色のままであり、異常に引き延ばされたブリーフパンツの集合のようにしか見えません。しかし、形成後約10分の時間をかけて服や頭髪など細かいパーツを生成しつつ変色し、服を着た20代前後の女性に擬態します。このとき生成される服もSCP-943-JPが擬態したものであり、脱がせることはできません。服装は装飾や露出の少ないものが選択されます。なお下半身に対応する衣服は必ずスカート状のものが選択されます。この状態になったSCP-943-JPの集合をSCP-943-JP-1と呼称します。

SCP-943-JP-1は発声することができませんが、こちらの発言を理解することは可能であるようです。 識字能力はありませんが、日本語を用いて通常通り対話が可能です。また、敵対条件を満たさない限り友好的です。敵対条件については実験記録を参照してください。敵対化したSCP-943-JPは各個体に分裂し対象の口や鼻孔、外耳道孔、眼孔など外部に露出している部分から体内に侵入します。この結果、ほとんどの対象は窒息、裂傷、内臓破裂などで死亡します。SCP-943-JPは一定時間後、対象の体内からはい出し、再びヒトへ擬態後その場を立ち去ります。

回収記録: 発見の約1ヵ月前から、体内に異常な損壊を受けた変死体の発見が相次いだことや、SNS上で「死体から這い出るブリーフパンツ」の都市伝説が流行したことから、未知のブリーフパンツ様の異常オブジェクトについての調査が開始されていました。そのような中、2014/4/29に██線の乗客から鉄道会社に対し「女の子がブリーフパンツに分裂して男性を襲っている」との通報が入り、SCP-943-JPの発見につながりました。乗客の証言から被害男性がSCP-943-JP-1の胸部に接触していたことが判明しており、SCP-943-JP-1に行った痴漢行為がSCP-943-JPの敵対化につながったのではないかという予測がたてられました。なお、被害男性は複数の主要臓器の損壊と[削除済]によって死亡しています。

実験記録: 実験はSCP-943-JPが発見された当時の環境を再現し、SCP-943-JP-1の敵対化条件を探るために行われました。当時はSCP-943-JP-1との対話方法が確立されていなかったことに留意してください。

実験記録1

被験者: D-94301

実験経過:

[D-94301がSCP-943-JP-1の収容されている収容室に入室する]

D-94301: で、俺は何をすればいいんだ?

██研究員: 目の前に女性がいるのが分かりますね?

D-94301: ああ、なんか地味な子だな。

██研究員: 無駄な発言は慎んでください。あなたはその女性に接近し、胸部に接触してください。

D-94301: は? それはつまり、あの子の胸を揉むってことか?

██研究員: ……おおよそその通りですが、揉むのではなく、最低限の接触にとどめてください。

D-94301: あいあいよ。ヘヘヘ、もう女に触ることはないと思っていたけど、まさかこんな機会があるとはな。よく見たら地味だけどかわいいな……、胸も意外とでかそうだ。C、いやDくらいは

██研究員: 二度目の警告です。無駄な発言は慎んでください。

D-94301: ああ了解了解、それじゃ触るぞ。

[D-94301はSCP-943-JP-1に接近し対象の胸部に接触。SCP-943-JP-1は驚いたように少し震えたが、それ以上の変化はない]

D-94301: へへへ……

██研究員: ……変化はありませんね。それでは接触をやめ対象から離れてください。

D-94301: は? これで終わりかよ? 抵抗もしてねえし、これは合意でいいだろ?

[D-94301はSCP-943-JP-1の胸部に対しより力強い接触を行う。また、SCP-943-JP-1の下半身に手を伸ばそうとする]

██研究員: 保安担当、D-94301を拘束してください! D-94301、勝手な行動は慎め! これ以上勝手な行動を行なう場合はその首輪が破裂するぞ!

D-94301: チッ、絶対こいつもまんざらじゃねえって。抵抗してこないんだし、誘ってるようなもんだろうがよ……

[D-94301がSCP-943-JP-1の臀部に手を伸ばし、接触。SCP-943-JP-1は各SCP-943-JPに分裂しD-94301に飛び掛かる]

D-94301: え、ブリーフ

[D-94301の口内にSCP-943-JPが侵入。押し寄せるSCP-943-JPに抵抗できずD-94301は床に倒される]

[武装した保安担当者数名が入室、SCP-943-JPは保安担当者に興味を示さない。保安担当者はD-94301を覆うSCP-943-JPを引きはがす。実験は終了。]

備考: D-94301は█体のSCP-943-JPの侵入、および侵入の試みを受け[削除済]に大きな損傷を受けたが、一命をとりとめた。SCP-943-JP-1の敵対化条件の1つは臀部への接触であることが判明したが、確保前のSCP-943-JPによると思われる殺害事件のいくつかは高低差の大きい場所など臀部への接触が発生するとは考えにくい状況で発生している。このため、SCP-943-JPの敵対化条件は他にも存在する可能性がある。

女性の姿のオブジェクトにこのような実験を行うのは同じ女性として非常に抵抗感があります。しかしながらそれ以上に、このオブジェクトが何人もの人間を殺めたことを考えれば、下手に手を抜くことはできません。実験は継続します。 - ██研究員

実験記録2

被験者: D-94301

付記: 前回の実験で一度分離してから再構成されているため、SCP-943-JP-1の容姿は前回のものとは異なる。

実験経過:

[D-94301がSCP-943-JP-1の収容されている収容室に入室する]

D-94301: ああ、よかった……

██研究員: なにがですか?

D-94301: ほら、前回はひどい目にあっただろ? 今回も担当者があんただって聞いて正直怯えてたんだよ。でもほら、今回は前のクソブリーフ女とは別人だし、前よりかわいい上に胸もでかいし、少なくともブリーフではなさそうだ。

██研究員: 私語は慎んでください。

D-94301: ちょっとくらい許してくれよ。女のあんたにはわからんかもしれないけど、こっちもストレスとかイロイロたまってんだからさ。それで今回は何をすればいいんだ?

██研究員: ……今回は、彼女のスカートの中を覗いてください。

D-94301: おい待て。

██研究員: なんでしょうか?

D-94301: ブリーフじゃないだろうな?

██研究員: 違いますよ。

D-94301: ほんとにか?

██研究員: ええ、確実に、間違いなく。

D-94301: ……わかったよ。信じるよ。俺は今からしゃがんであの女のスカートの中を覗く。これでいいな?

██研究員: はい。お願いします。

D-94301: あいよ。へへへっ、結構なかわいこちゃんだから、やっぱ履いてるのもかわいいやつなんだろうな……

[D-94301はしゃがみ込み、SCP-943-JP-1のスカートの内部を覗き込む]

D-94301: あ、ブリーフ

[SCP-943-JP-1は敵対化しSCP-943-JPに分裂、D-94301に飛び掛かる。保安担当者が入場し、D-94301からSCP-943-JPを引きはがす]

備考: D-94301は生還したが[削除済]。今回の実験の結果によりSCP-943-JP-1のスカートの内部を視認する行為もSCP-943-JPの敵対化に繋がることが判明した。確保前に発見された変死体(特に高低差のある場所で発見されたもの)はこの条件を満たしたのだと考えられる。

インタビュー記録: 2015/█/█、実験のためSCP-943-JP-1を形成させた際、突如としてSCP-943-JP-1が██研究員に対して発言しました。本インタビューはその直後に行われたものです。なお、SCP-943-JP-1の形成を伴う実験は約6か月ぶりでした。

インタビュー記録

対象: SCP-943-JP-1

インタビュアー: ██研究員

<録音開始>

██研究員: それではインタビューを開始します、SCP-943-JP-1。

SCP-943-JP-1: えすしー……なんだ? 俺たちの名はスーパーパンツマン。格好いいだろ? そのちんちくりんな呼び方はやめて、是非この名で呼んでくれ。

██研究員: ……善処します。さて、あなたはなぜ突然会話を始めたのですか? いままで一言も話さなかった訳はなんなのでしょうか?

SCP-943-JP-1: 声がコンプレックスなんだよ。

██研究員: 声が、ですか?

SCP-943-JP-1: ああ。この低い男の声。母さんがくれた使命の邪魔になるから何度も変えようとしたが、これだけは変えられなかったんだ。

██研究員: その"母さん"とは一体どんな人物なのでしょうか?

SCP-943-JP-1: 母さんは俺たちを作った偉大な人だ。何もできない俺たちはいつも母さんを怒らせてばっかりだったけど、優しい母さんは俺たちに使命を与えてくれたんだ。

██研究員: 使命とは?

SCP-943-JP-1: 男たちの願いを叶えることだよ。俺たちはそのために生まれて、そのために生きるんだよ。そうしたら男たちはもちろん、母さんも喜んでくれるからね。今までもたくさんの男たちの願いを叶えてきた。君も見てきただろう?

██研究員: その願いというのは、下着に関係することですか?

SCP-943-JP-1: もちろんだ。パンツまみれにしてあげるんだよ。母さんが言うには、男ってのはパンツ好きな生き物だからな。優しい母さんはパンツを通して多くの男たちを幸せにしろって言ってくれたんだ。

SCP-943-JP-1: この使命を達成するために、俺たちは母さんの言うとおりに形も変えられるようになったし、仕草も練習したんだ。今回こうやって嫌いな声を出してまで話しているのは、もっとこの使命を達成する機会をくれとお願いするためなんだよ。

██研究員: 要求については善処します。ただ、男性がみな下着が好きであると決めつけるのは良くないと思いますが。

SCP-943-JP-1: 確かに、たまたま今パンツをみたい気分じゃないってことはあり得る。だから、俺たちが願いを叶えてあげるのは、明らかにパンツを欲してる男だけだ。例えば、パンツを触ってきたり、わざわざパンツを覗こうとするような。

██研究員: あなたの言いたいことはわかりました。しかし、口や耳から体に侵入するのはやり過ぎでは?

SCP-943-JP-1: いいや? 口とか耳を隠してないってどう見たって誘っているじゃないか。

██研究員: そんなことは全くないと思いますが。

SCP-943-JP-1: いやいや、実際ほとんど抵抗してこないし、本当は喜んでるに違いない。恥ずかしがって嫌なふりをしてるだけでな。男ってのはそういうもんなんだよ。絶対に。

<録音終了>

終了報告書: SCP-943-JP-1からの"使命達成の機会の増加"要求はリソース保護の観点から却下されました。SCP-943-JP-1形成を伴う実験は最小限にとどめ、SCP-943-JP-1が反抗的な行動にでることを抑えてください。SCP-943-JP-1が"母さん"と呼称する人物に関しては調査が進行中です。

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