SCP-950-JP
評価: +41+x
dry.jpg

SCP-950-JP-1の放出を終え非活性状態へ移行したSCP-950-JP。

アイテム番号: SCP-950-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-950-JPはサイト-8181の低危険物収容ロッカーに収容されています。インタビューを行う際はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員1名の許可を得た上でロッカーから非活性状態のSCP-950-JPを1つ取り出し、1Lの水道水に満たされた専用の容器にSCP-950-JPを投入します。その後の活性状態で発生したSCP-950-JP-1については、その全てをDクラス職員に摂取させます。Dクラス職員を用いてSCP-950-JPの摂食実験を行う際は、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員2名の許可を得た上で行ってください。Dクラス職員以外の職員がSCP-950-JP及びSCP-950-JP-1を摂取することは禁止されています。またSCP-950-JPが財団職員に対し非協力的になることを防ぐため、SCP-950-JP及びSCP-950-JP-1を人間による摂取以外の方法で処分することは現在禁止されています。

説明: SCP-950-JPは一般的に食されるリンゴ(セイヨウリンゴ、学名:Malus pumila)のカットした花托1部分を乾燥させた、いわゆるドライアップルと同様の外見をした物体です。試食実験及び成分分析においても非活性時には乾燥させた通常のリンゴの花托部分、活性時には新鮮な通常のリンゴの花托部分と同様であると判明しています。

SCP-950-JPは通常非活性状態ですが、人間が通常飲むことのできる液体、具体例としては一般的な水道水や食塩水などに漬けられた際、その液体を1リットル吸収することで活性化します。活性化が完了した時点でのSCP-950-JPは新鮮なリンゴの花托のような外見になり、活性化したSCP-950-JPは活性状態への移行が完了した時点からSCP-950-JP-1を放出し始め、8時間放出を続けた後非活性状態に移行します。SCP-950-JP-1はリンゴの果汁のように見られる液体で、試飲実験及び成分分析では活性化に用いた液体に関わらず通常のリンゴ果汁と同様であると判明しています。一回の活性化で放出されるSCP-950-JP-1は0.5リットルであり、SCP-950-JPが吸収した液体との差分0.5リットルがどのように扱われているか現在も研究が行われています。またSCP-950-JPがSCP-950-JP-1を吸収することはなく、0.5リットルのSCP-950-JP-1を水1リットルで薄めた液体を用いてSCP-950-JPを活性化させた場合、活性状態への移行が完了した時点で残される液体はSCP-950-JP-1と同等の液体0.5リットルであることが実験で判明しています。SCP-950-JP及びSCP-950-JP-1は人間が摂取することが可能であり、これらの摂取による影響についても研究が行われていますが、現在までのところ身体面、精神面共に明確な影響などは報告されていません。

SCP-950-JPは発声器官が明らかに存在しないにも関わらず音声を発することができ、財団職員によるインタビューから知覚及び知性を持つことが判明しました。SCP-950-JPは自身が食されること及びSCP-950-JP-1を放出することについて「仕事」と称し、財団職員によるSCP-950-JPのインタビューについては「依頼」であると認識し対価として水1リットルを要求します。またSCP-950-JPは自身及びSCP-950-JP-1が人間による摂取以外の方法で処分されることに強い抵抗を示し、それらが実行されつつあることを感知すると、SCP-950-JPにとってその処分が「仕事に対する侮辱」であり実行された場合今後の「依頼」を引き受けないという旨の発言をし、財団職員に対し非協力的になる兆候を示します。現在SCP-950-JPとのインタビューにおいて製造元や果汁放出プロセスの詳細について尋ねると「企業秘密」として詳細な返答を拒否しており、これらについて未だ不明な点が多いためSCP-950-JPが非協力的になると想定されるSCP-950-JP-1の処分方法は、収容プロトコルにおいて全て禁止されています。

SCP-950-JPは200█年█月に「███湖から甘い香りが漂い、水を飲むとほのかに甘い」という噂を聞きつけた財団エージェントが███湖を調査した際、███湖の湖面に浮かんでいる所を発見されました。発見・回収がなされた際SCP-950-JPはエージェントに礼を述べ、詳細を尋ねたところ「ふざけた仕事を延々やらされて心底辛かった」と発言したと報告されています。発見当時SCP-950-JPは12個存在を確認されましたが、SCP-950-JPの試食実験を経て現在財団は8個のSCP-950-JPを収容しています

インタビュー記録001 - 日付200█/██/██

対象: SCP-950-JP

インタビュアー: ██研究員

<録音開始, 200█/██/██>

██研究員: 只今よりインタビューを開始する。SCP-950-JP、聞こえているか?

SCP-950-JP: 聞こえてはいるが、そのインタビューというのは依頼かな?依頼をするんだったらちゃんと事前に対価をくれないか。それと君の名前もな。名前も名乗れん相手と仕事を共にするつもりはないよ。

██研究員: ああ、私は██研究員だ。対価ね……えー……水ならここに用意してあるんだが。

[██研究員が水道水1リットルを入れたビーカーを取り出す。]

SCP-950-JP: それで結構。その器の中に入れてくれ。

[██研究員がSCP-950-JPをビーカーに投入。活性化完了まで5分待機。]

SCP-950-JP: オーケー、何でも聞いてくれ。

██研究員: まずこれまでの実験結果について改めて確認するが、君が今出してるその液体はリンゴの果汁なんだな?

SCP-950-JP: その通りだ。私達は仕事として人間が飲むためのこのリンゴ果汁を放出している。

██研究員: で、それの元になってるのは先程君が吸収した1リットルの水だと。

SCP-950-JP: その通り。

██研究員: なら君達は0.5リットルの果汁しか出さないわけだが、残りの0.5リットルはどうしているんだ?

SCP-950-JP: それこそが私達への対価だよ、██君。私達だって無賃で働く気はない。

██研究員: ということは残りの0.5リットルは君達自身が頂いてるというわけだ。一体何に使っているんだ?

SCP-950-JP: それは企業秘密だ。

██研究員: うーん……じゃあどこかに送ったりしてるのか?君達がその場で0.5リットルの水を何の痕跡もなく使い切れるとは思えないぞ。

SCP-950-JP: それも企業秘密だ。

██研究員: やっぱり企業秘密か……ちょっとは教えてくれないか?少しくらいいいじゃないか。

SCP-950-JP: ……██君、一つはっきりさせておこう。確かに私達は君達の手によってあの湖でまともに飲めもしなくなる果汁を延々出し続けるふざけた仕事から救われた。その事実は認めるし恩義があることも認める。だがそれとこれとは話が別だ。我々はあくまで仕事相手であって仲良しこよしするお友達ではないのだぞ。馴れ合うつもりは一切ない。企業秘密は企業秘密、そんな簡単に教えられるわけがないだろう。

██研究員: そ、そうか……それもそうだな、気に障ったならすまなかった。

SCP-950-JP: いや、わかってくれたらそれで構わない。他に聞きたいことはあるか?

██研究員: 今回はこんなところだな……そうだ、今まで水しか渡してこなかったが、君の好きな液体とかあったりするかい?もし液体の半分が君達の対価になるというなら、なるべく良い物を提供しようかと思ったんだが。

SCP-950-JP: え?うーん……あ、いや、それも企業秘密だ。

<録音終了, 200█/██/██>

インタビュー記録002 - 日付200█/██/██

対象: SCP-950-JP

インタビュアー: ██研究員

<録音開始, 200█/██/██>

██研究員: 只今よりインタビューを開始する。SCP-950-JP、██研究員から依頼させてもらうぞ。

SCP-950-JP: わかった、その中に入れてくれ。

[██研究員が1リットルの水を入れたビーカーを取り出し、SCP-950-JPを投入。活性化完了まで5分待機。]
[以降インタビューが行われる。 30分省略。]

██研究員: よし、今日のインタビューはこれで終わりだ。あとはゆっくり出していてくれ。

SCP-950-JP: ██君、実は一つ私達から頼みたいことがあるんだが……。

██研究員: 頼みごととは珍しいな。内容にもよるがとりあえずどういう要求か教えてくれ。こちらで検討しよう。

SCP-950-JP: 私達を助けてくれた彼に改めて礼を言わせてもらいたいと思ってね。エージェント██(注記:███湖からSCP-950-JPを回収したエージェント)といった名前だったかな。

██研究員: ああ彼か。彼なら今別件で出張中のはずだから、要求が通ったとしても少し先になるかもしれないな。

SCP-950-JP: 出張?……そうか、無事に帰ってくるといいが。

██研究員: ん?どうしてそんなに心配そうな口調なんだ?

SCP-950-JP: いや、前に私達の同僚2が出張中の事故にあってな。出張と聞くとどうにも不安で……。

██研究員: ま、待ってくれ、その出張中の事故っていうのは?

SCP-950-JP: 飛行機事故さ。連絡もつかないし彼はどうなってしまったのやら……。

██研究員: ……いつどこで事故が起きたか教えてくれるか?その同僚を見つける手伝いをさせてくれ。

SCP-950-JP: いや、それは企業秘密に触れてしまうんだ……すまないな。

<録音終了, 200█/██/██>

付記: 現在SCP-950-JPが言及した「同僚」の行方及び飛行機事故について調査が行われています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。