SCP-952
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アイテム番号: SCP-952

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-952の影響下にある音楽企画はあらゆる手段を用いて終了してください。また、SCP-952の影響下にある音楽を録音記録している物理媒体は、標準規格タイプ-C反ミーム保存装置に複製し、その後破壊してください。SCP-952の影響下にある音楽家が主催する音楽会は、影響を受けた職員が居ないと確認されるまで閉鎖してください。

SCP-952への対抗ミーム・エージェントの開発が進行中です。完成するまで、SCP-952の影響下にある全個体は拘束してください。

予防措置として、音楽業界内の財団エージェントは、SCP-952が完全収容されるまで"マス・ロック"のジャンルとしての評判を下げるよう努めてください。関連職員は詳細を知る為に資料952-32を参照してください。

HighwayAsh.png

SCP-952のベクターである幹線道路の燃え殻の別のカバーアート。 WOEDENAZ.aicにより認識災害のトリガーは無いことが確認されている。

説明: SCP-952はマス・ロックの異常な下位ジャンルで"NPロック"として知られています。それは主に、楽器調整・主題・難解な音楽技術それぞれの特殊な組み合わせによって定義されます。物証が示すところでは、これらの要素の集積がSCP-952の異常性の原因です。

SCP-952楽曲を聞くと、被験者は直ちにSCP-952を固有の音楽ジャンルだと判別します。さらに、周期的な視聴は(楽曲を一日一回以上聞くことと定義されます)次のような異常効果を発生させます:

  • 一週間以上の周期的視聴の後、音楽経験の有る被験者はSCP-952を再作曲する方法を会得する。
  • 四週間以上の周期的視聴の後、音楽経験の有る被験者はSCP-952以外の楽曲を演奏することができなくなる。
  • 四週目以降、被験者の人格は多大な変化を受ける。この変化は被験者同士で異なるが、どの場合でも既存の恋愛関係が完全に存続不能になることが観測されている。
  • 12週目以降、SCP-952でない全楽曲の視聴は被験者に著しい苦痛をもたらす。

既知の最古のSCP-952実体は幹線道路の燃え殻1と考えられており、当アルバムは"スペードのハウス"として知られるバンドが20██年に公開しました。20██/09/28時点では、少なくとも████個のSCP-952楽曲が未収容であると見積もられています。

インタビューログ[952-01]:

インタビュー対象: ベロニカ・フィッツロイ

インタビュー実行者: エージェント・ヘイ

前文: ミス・フィッツロイ氏はスペードのハウスのドラム担当であり、脱退後も公衆の面前に現れる唯一の人物であった。財団は彼女と接触し、ピッチフォークのコラム記者との対話に偽装してインタビューを行った。

<ログ開始>

エージェント・ヘイ: おはようございます、ミス・フィッツロイ。

フィッツロイ: マーガレット、お願い、ベロニカと呼んで。ミス・フィッツロイってのは、はるか昔の歴史的オカルト人物で、そっからラスト・ネームを……。

(七秒間の沈黙)

フィッツロイ: 長ったらしかった? あぁ、作詞家はイジー2だったからね。けどともかく、ベロニカが良いかな。

エージェント・ヘイ: わかりました、ミ……ベロニカ、すみません。では始めましょう、スペードのハウスでの仕事のついて、本当に話したかったんです。ずっと聞き続けて、そして、こう言うしか有りません、感動しました。あれに似たものは世間には有りません、少なくとも私が聞いたことの有る"世間"のものには。

フィッツロイ: あぁ、有難う。そうね、多分私の傑作のどれかでしょ。一番はどれ? 自己表題? 幹線道路の燃え殻? デイビッド・キャメロンが死んだ豚を犯した

エージェント・ヘイ: どう思い付かれたのも気になります、好きなのと同じくらいに……つまり、一番興味がそそる話題は幹線道路の燃え殻を作る際にあなたが成したことなのです。

フィッツロイ: あら、ナード。えぇ、いえね、あれはめっちゃ楽しかったけど、私が独りで全部やったわけじゃないの。ジャック3との二人三脚だったの。イジーも助けてくれて、そして、サラ4も口車に乗せれば役立った。ただ、大部分が私たち二人。その方が簡単に行ったから。

エージェント・ヘイ: そうだとしても、あれは魔法みたいなものですよ。スペードがずっと"マス・ロック"のお仲間であるとは知っていますが、あれは全くの別物に感じました。

フィッツロイ: ええ、そう、わざとやったの。最初は文句言ってた奴らも結局皆あれを真似した。新しい音楽ジャンルを始めるってのはいつでも面白いものね、特にその名前を"NPロック"みたいなバカげたのにするときは。

エージェント・ヘイ: 大変興味深い名前選びです。その理由を聞いても構いませんよね?

フィッツロイ: もちろん、それで、PがNPに等しくない訳を知ってる?

エージェント・ヘイ: ええ。

フィッツロイ: (短い間)NPロックは即席の戯言の類じゃない。慎重な計画と熟考が必要だった、特に私とジャックのパートではね。存在しない音を作ろうと思ったこと有る?

エージェント・ヘイ: えー……うーん、誰でも一回は有るんじゃないでしょうか。

フィッツロイ: めちゃくそムズいのよ、ええ。脳は無意味なことを言うようには配線されてないの、[認識災害編集済み]みたいなことは。つまりね、NPロックが何かは簡単には決められないの。でも、それを認識するのは簡単、一度聞けば分かる。それに、真似するのもね……そうさせることが大目的としてたの、とにもかくにもね。私はTTNG以降行き詰まった業界に変革をもたらしたかった。

エージェント・ヘイ: ええ、実に革命的——

フィッツロイ: むしろあれは……破壊行為かな、私としては。

エージェント・ヘイ: ……どういうことでしょう?

フィッツロイ: ジャックが何を考えてあれを思い付いたのかは分からない、多分下らないことなんだろうけど。煙草フカして出した諸々の計画なんて大抵バカげてるもの。でも逆に、私にはたった一つの計画が有るだけだった。業界を滅入るような陥没孔にすることが望みだった。そうすることで、サラが感じた喜びを全部奪い去って、足元に踏みつけたかった。

(エージェント・ヘイは発言を試みるが、フィッツロイに遮られる。)

フィッツロイ: サラには二つしか無かった。音楽と、そして、軽薄で快楽主義のくそったれたガールフレンド。あいつの指を切り落とすか、マス・ロックを滅ぼすか。ええ、私は牢屋に入れられるかもしれないし、マイク・キンセラやザック・ヒルみたいに讃えられるかもしれない。最初はイジーが自殺すれば良いって思ったこともあるけど、彼女がブラインガッシュ5になるのを見るのは、大していいもんじゃないからね。

エージェント・ヘイ: えーっと、失礼ですが、誰かについてそういうことを話すのはよろしくないですよ。それに、サラさんとの関係が良く分かりません。

フィッツロイ: お嬢さん、知らないジャンルに採点なんてできないでしょう。あのクソジャンル全てがにわかナードがデートもうまくできないことの証なの。ただ聞いてみれば分かるわ、ウェイン・サリンスキ、ポルボ、TTNG、 [認識災害削除済み]、それともアホなハウスがやったこともない、キンセラの野郎のシャワーしながらの歌でも良いから。不幸の中に身を置けばそうなるの。不幸が魂の鼓動に切分されるなら、もっと良いね。

エージェント・ヘイ: すみませんが、"魂の鼓動"はやや込み入っています。もっと簡単に言ってくれませんか?

フィッツロイ: ええ! けど、その前に私から一つ目の質問。あなたたちはいつもとぼけているの?

エージェント・ヘイ: ……どういうことです?

フィッツロイ: 冗談じゃないからね。全ての魂が似たような周波数で生きている。鍵は周波数が幾らかを掴むこと。そして、今あなたはサツの周波数をガンガン鳴らしている。

エージェント・ヘイ: えっと……聞いてください、言っている意味が——

フィッツロイ: どうやってかあんたは、ジャックがNPロックを聞いたのに興味を持たなかったことも知ってるし、正しい証明も無いのに私のPとNPの発言に同意したし6、そして何より、ピッチフォークはね、あたしには興味ないのよ、私のソロアルバムに2.6を付けてからね。あんたは、政府オカルト連合の捜査官か、それとも、ブラインガッシュの女? 捜査官なら向かなさすぎだし、ブラインガッシュの女なら随分手厚い歓迎ねえ、私を殺してもサラは帰ってこないってのに。それにね、アッシーが死んじゃったからってことも知ってるの、こっちはね!

エージェント・ヘイ: 御婦人? 大丈夫ですか?

フィッツロイ: なるほどね? 私をただ……調べるだけ? ……はあ、イジーにそっちの勝ちだって教えてあげな。忌々しいことに勝ったの、何年も経った後にね。私は哀れな██████オバサンで、復讐の為に幸せな人生の機会を投げ売ったんだ。でも、ねえ、サラはもう死んで、イジーは[編集済み]の外では二度とベースをチューニングしない。これで満足!?

(凄まじい大音響が聞こえた。後にエージェント・ヘイはフィッツロイが後ろの壁にかけられていた花瓶を投げ付けたことを報告した。数秒の静寂の後、フィッツロイが椅子にもたれかかる。)

フィッツロイ: 声明は寝室で、遺言はキッチンで。楽しかったよ、お嬢さん。████████████ █████████。

<ログ終了>

最終弁論: インタビュー終了直後、フィッツロイはクッションの下からリボルバーを取り出し、自身の額を撃ち抜いた。20██/██/██、Ms.フィッツロイの遺言が機密解除された。

資料952-02:

私、ベロニカ・キャサリン・フィッツロイは、健全な肉体と、そして自身の忌々しい意志を実行するに足りる健全な精神を持ち、ブラッド・キャメロンと包帯塗れの男を立会人として、7(二人共、後々法的戯言を扱うことになるだろう)以下のように遺産分与を宣言する。

知る人ぞ知る、スペードのジャックへ、同じく知る人ぞ知る、ブラインガッシュ婦人へ、サラ・██████・███████の魂を遺す。精々アレとやりあいな。ド底辺の寄生虫共め。

また、もう一度知る人ぞ知る、スペードのジャックへ、スペードのハウスの自己表題以外のアルバムとEP盤の私の分の印税を遺す。あれはギターの絶技だったね、あんたも御存知の通りだろ。自分のイカみたいなクソチンポが二度と湿ることはないと承知しつつも、私が幹線道路の燃え殻を広めるのを手伝ったことの感謝と考えてくれ。

アナ・███████へ、H・ローレンス・ロスの飲酒運転予防策を一冊遺す。お前に少しでも姉と似ていれば、これを一頁ずつ読ませてあげたんだが。

サイダーの女神、愛しきアッシーを握る者へ、我が魂を遺す。こいつが旅したがらないとは承知してるが。

そして最後に、ブラッド・キャメロンへ、他の全てを遺す。あんたはうちらのなかでも実に最高のやつだった。あんたを3年の自殺のせいで作曲から蹴り出してすまなかった。

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