SCP-955-JP
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アイテム番号: SCP-955-JP
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内部から撮影したSCP-955-JP。

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-955-JP周辺は一般人の立ち入りを防止し、またSCP-955-JPに指定される部屋の窓には両側から窓を視認出来ないようシャッターを設置してください。SCP-955-JP-Aとなった人物は検査の後異常がなければ可能な限り財団にて雇用するか、収容してください。

説明: SCP-955-JPは、愛知県名古屋市██区に存在する、かつて████社によって管理されていた社員寮の一室に発生する異常現象です。SCP-955-JPが発生する一室の窓を、周囲1█mに観測者以外の人間が存在せず、かつ夜19:37分〜26:11分までの間に外部から視認した男性はSCP-955-JP-Aとなり、SCP-955-JPの異常性を観測できます。

SCP-955-JPはSCP-955-JP-Aに、窓の内側で安楽椅子に座り読書をしている女性の幻覚を見せます。SCP-955-JP-Aとなった人物は女性に対して高い確率で“魅力的である”と感じ、女性について、可能ならば親しい関係になりたいと感じます。SCP-955-JP-Aに観測される女性像は毎回一致せず、SCP-955-JP-Aの好みに合わせ変化しているようです。

SCP-955-JP-Aとなった人物は、自己の生活の中で、同様の女性を窓の向こう側に観測します。女性の出現は平均して数日〜数週間の感覚をおいて現れ、SCP-955-JP-Aとなった一般人へのインタビューでは「喫茶店の窓際の席で座っていた」「ブティックの向こう側で服を選んでいた」「バスに乗っているのを見た」などの出現が報告されています。Dクラス職員をSCP-955-JP-Aへと変化させる実験では、Dクラス職員は収容房から研究室へ向かう間に、別の研究室で実験をする姿を観測しました。SCP-955-JP-A以外に、これらの女性を確認することは成功していません。

SCP-955-JPの影響を受けてから3〜5ヶ月の経過後、SCP-955-JP-AはStage-2へと移行します。SCP-955-JP-Aは、窓の向こう側だけでなく、視界の端や鏡を見た際に自分の背後を通り過ぎる女性の姿を認めるようになります。この場合でもSCP-955-JP,Stage-2は基本的に女性と出会うことはなく、またSCP-955-JP-A以外にこの女性を確認することはできません。この状態へ移行したSCP-955-JP-Aは女性の姿を追うことに執着し、周囲を激しく見回したり落ち着きなく外を歩き回るようになります。この状態のSCP-955-JP-Aは心身に多大なストレスを生じるため、カウンセリングなどの処置なく放置した場合その多くが2〜3ヶ月のうちに衰弱し、高い確率で精神疾患を煩います。数例、SCP-955-JP-A,Stage-2から当該の女性の声が聞こえる、あるいは女性とじかに出会い、対話をしたという報告がされています。

SCP-955-JP-Aとなり、精神疾患を煩わないまま約1年以上が経過した人間は、Stage-3に移行します。この状態ではSCP-955-JP-Aは極めて社交的になり、落ち着きを取り戻します。この状態のSCP-955-JP-3の特徴として、多弁・若干の躁傾向とともに、より多くの人間と友好的な関係を築こうとつとめ、Stage-2で見られたような落ち着きなく周囲にSCP-955-JPで確認した女性を探すような行動はなくなります。現在までにSCP-955-JP-A,Stage-3まで段階が進行したのは記録上ではSCP-955-JP-Aとして最初に財団に収容された一般人男性のみです。

補遺: インタビュー記録:955-JP

対象: SCP-955-JP-A,Stage-3

インタビュアー:東郷博士

付記: SCP-955-JP-A,Stage-3はSCP-955-JPが財団に収容されて以来サイト-81██内で生活している。

東郷博士: こんにちは、本日はよろしくお願いいたします……調子はどうですか。

SCP-955-JP,S-3: 良好です。だんだんこんな生活にも慣れてきました。実のところ、すこしだけ楽しくなってきたりしています。

東郷博士: ははは…楽観視はできないが、君の場合、異常性の影響はほぼないに等しいだろう。現在までに我々が試した方法では君のそれを取り除くことは出来なかったが、きっといつか戻れるさ。その場合それ以降の生活については財団で保証する。

SCP-955-JP,S-3: はい。早く自宅に戻れるのを楽しみにしています。

東郷博士: 今日は幾つか、君の“段階”まで進んだ場合の記録を取るためにインタビューを行う予定だ。あー、体の調子は良好…のようだね。

SCP-955-JP,S-3: はい。とても良好です。落ち着きも失くして、とにかく“彼女”を探してあっちこっち、キョロキョロしていたこれまでの自分が嘘みたいです。

東郷博士: うん。君が我々に収容された時と比べると随分と良くなったみたいだね。ちゃんと私の目を見て話せるようになった。

SCP-955-JP,S-3: はい。

東郷博士: では質問を始める。まず、君があれを見た時、何か気づいたことは有ったか?

SCP-955-JP,S-3: ……きれいな人、だなあと思いました。始めて見てから、大学の教室で授業を受けている時とか、アルバイトしている時とかに、外を歩いている姿をたまに見かけるようになって、勝手に親しみを感じてたんです。そのうち彼女の姿があちこちに見えるようになって……その頃にはすっかり彼女に恋をしていました。どこを見ていても、視界の端に彼女が映るのを待っていたような状態です。そのうち自分の部屋の中にはいるわけがないから、って一週間も家に帰らず街中をぶらぶら歩き回るようになって……

東郷博士: その頃に君は我々に収容されたというわけだ。しかしここに来てから1ヶ月もするころには、君はそんなそぶりを見せなくなったね。恋が冷めたのかな?それともやっと彼女に会うことができたとか?我々はそこを調べる必要がある。

SCP-955-JP,S-3: はい。……気づいたんです。彼女がいつだってそばにいるってことに。

東郷博士: ……ふむ。それで君は?どうしたんだい?

SCP-955-JP,S-3: 視界の端っこに映ってたり、鏡を見た時に奥の方にちらちらと見えたり、そんな風に彼女を探すのがばかばかしくなったんですよ。

東郷博士: ……続けてくれないか。

SCP-955-JP,S-3: 彼女はずっと……いや、途中からそばにいたんですよ。

東郷博士: つまり?

SCP-955-JP,S-3: そばに彼女が来てくれた、そこに気づいたらあとは簡単でした。いつだって彼女はそこにいる。気づいてしまえばあとは簡単でした。僕がこのイライラする性格を治せば、あとは簡単でした。彼女にはいつだって会えるんです。僕はそれに気づいて、あとは簡単でした。

東郷博士: 簡単に彼女に会えるようになったと?

SCP-955-JP,S-3: その通りですよ。私はずっとそばにいた彼女を知ったんです。そうなるとあとは簡単で、実際のところそれはすごく簡単なことでした。ぼくは今や簡単に彼女に会うことができるし、これまでとは違って彼女はこちらに微笑みを向けてくれるんです。私はそれに気づくと、自分のバカさを呪って、ぼくのスタイルを変えようと努力しました。それは随分簡単に済んで、ぼくはそれからはずっと簡単に彼女に会えるようになったんです。

東郷博士: 君は常に、“彼女”を確認していると?

SCP-955-JP,S-3: 彼女は最初からぼくのすぐ近くにいてくれたんです。私の視力が良くて本当に助かりました。彼女は小さいけれど、ぼくは今やいつだって彼女を見つけることができるんです。博士、ねえ博士、ぼくをもっと見てください。私と目を合わせてくださいよ。さっきから私と目を合わせないのはどういうわけなんですか、ぼくは彼女と見つめあっていたいんですよだって博士がぼくを見てくれないと……彼女が見えないから。

東郷博士: ……どういうことだ?

SCP-955-JP,S-3: 博士、ぼくを見て下さい。見て。

東郷博士: ……

SCP-955-JP,S-3: 彼女はそこにいるんだ。博士。私を見て下さい。私と目を合わせてくださいよ。ほら。私は私の目を見なくてはならない。私のひとみの中にはぼくがずっと会いたかった彼女が座ってるんです。はやくぼくがみてくれるのを待ってるんですよ。博士。

東郷博士: ……インタビューは終了する。

SCP-955-JP,S-3: 博士。もっと。見て。もっと。


終了報告書: 彼の発言から、SCP-955-JPに出現する“女性”はSCP-955-JP-Aの「目」の中に存在し、それゆえに視界の端々に現れていたのだと考えられる。1意識して彼の目を注視してみるとすぐに分かった。彼の目の中に女が座っていた。私には、鼻が欠け、顔のただれた老婆に見えたが。__東郷博士

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