SCP-965-JP
評価: +38+x

アイテム番号: SCP-965-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-965-JPはその性質上動かすことが出来ないため、サイト-81██の旧低脅威度物品保管庫を特別収容室として改造します。収容室外壁は高気密性のものに換装し、縦1.90m、横9.10m、厚さ10mmのステンレス材でSCP-965-JP両面を完全に覆ってください。フルムーン・イベント時に実験を行う場合、屋内をISO14644-1準拠のクラス1クリーンルーム1に保った状態で実験を開始してください。SCP-965-JP本体は実験の際の片面のステンレス材を外しますが、縁部分への接触事故を防止するため代わりに同型かつ中心部分を縦1.75m、横8.90mに繰り抜いたステンレス製の額縁で覆ってください。予期せぬSCP-965-JP-2の発生を防ぐため、フルムーン・イベント中に実験室内に入った実体はイベント終了後まで外に出さないようにしてください。実験などで発生したSCP-965-JP-2及び実験室内の空気は一度プラズマ焼却炉で焼却し、鏡像異性体2分子の拡散を極力防いでください。SCP-965-JP-2の収容が必要な場合は特別収容室内に設置された専用房で行い、接触の際は財団標準のHazmatスーツを着用してください。

説明: SCP-965-JPは、サイト-81██の旧低脅威度物品保管庫の壁面に存在する、縦1.80m、横9.00mの2次元の時空間異常です。通常時のSCP-965-JPの両面は反射率100%の鏡として振る舞い、いかなる実体もその表面を通過することは出来ません3。SCP-965-JPは満月の日の夜4の間フルムーン・イベントを発生させ、その性質を変化させます。SCP-965-JPがなぜ満月の夜に活性化するのか、そしてどのようにして満月であることを判断しているのかは不明です。

SCP-965-JP-Aは、フルムーン・イベント時SCP-965-JPの両面をポータルとしてその反対側に存在する平行世界とみられる空間です。この空間は見かけ上基準世界の回転対称なコピーであり、SCP-965-JPの中央に存在し、底辺に対して完全に垂直な1次元の直線(以下特異軸と呼称)を中心に基準世界を180°回転させた様相です。SCP-965-JP-AはSCP-965-JPを介して容易に基準世界との行き来が可能です。SCP-965-JP-Aに実体が侵入した場合、特異軸と線対称となる位置から、侵入した実体の完全な複製であるSCP-965-JP-1が基準世界に侵入します。侵入した実体とSCP-965-JP-1は完全に一致した行動をとり、フルムーン・イベント中にはSCP-965-JP-1に一切の特異性はありません。また、SCP-965-JP-1と侵入した実体とを物理的に識別する方法は存在しない5ため、実験の際はSCP-965-JPを常時監視し、侵入記録によってSCP-965-JP-1を区別してください。SCP-965-JPの縁を通過するように物体がSCP-965-JP-Aへと侵入した場合、物体は縁に触れた部分から容易に切断されます。また、特異軸を通ってのSCP-965-J-Aへの侵入の試みは対象に対応するSCP-965-JP-1との接触により不可能です。

SCP-965-JP-1がフルムーン・イベント終了後まで基準世界に存在していた場合、全てのSCP-965-JP-1はイベント終了とともに瞬時にSCP-965-JP-2へと変化します。SCP-965-JP-2は、元となるSCP-965-JP-1の完全な鏡像体です。SCP-965-JP-2は変化時、SCP-965-JPに垂直かつ特異軸を通る平面に対して対称の位置に瞬間移動し、その場所にある同体積の物体をくり抜くように置換します。置換された物体はSCP-965-JP-1が存在していた空間に出現しますが、この際構成していた物質が押し込められるような形で変形しています。SCP-965-JP-2に原子レベルでの異常性は存在しませんが、構成する分子に鏡像異性体が存在する場合はそれに変化しています。空間認識能力が高い動物がSCP-965-JP-2となった場合、変化後に極度の混乱を示します。人間の場合「突然鏡の世界になった」と主張し、多くの場合SCP-965-JP-Aへの帰還を望みます。

補遺1: SCP-965-JPは20██/██/██に、██県███市の警察に潜伏中の財団エージェントがAnomalousアイテムとして回収しました。極低脅威の異常性であったため、目撃者は簡単なインタビューの後Aクラス記憶処理を行い解放しています。目撃者である█████████スタジオの生徒によると、10日前に新調された鏡がその日の夜突然異常性を発揮したとのことです。回収時には通常の鏡と同じく移動が可能であったため、サイト-81██の低脅威度物品保管庫に収容されました。以下は収容当時のAnomalousアイテム報告書です。

説明:満月の夜になると、本来映し出すべき鏡像に対してその中心軸を基準に左右反転された像を写す鏡。ダンス練習用の縦1.80m、横9.00m、厚さ5.00mmの巨大な一枚鏡。
回収日:20██/██/██
回収場所:██県███市郊外のダンス教室「█████████スタジオ」内に存在する練習用ホール。
現状:サイト-81██に保管。

20██/5/██、サイト-81██にてEuclidクラス人型オブジェクトであるSCP-███-JPの収容違反が発生しました。この際対象は逃走の末低脅威度物品保管庫に逃げ込み、駆けつけた保安職員により無力化されました。この際壁に掛けられていたSCP-965-JPに数発の銃弾が命中6し、覆っていたガラスが割れ、背面の金属板も床に落ちました。これによりSCP-965-JPが時空間異常であることが判明し、その3日後のフルムーン・イベントにおいてSCP-965-JP-Aが発見されたことでSafeクラスオブジェクトとして再定義されました。破損したガラスと金属板に異常性はなく、どのようにして空間異常を移動させることができていたのかは現在も不明です。

補遺2: 幾つかの動物実験により、SCP-965-JP-1が基本的に侵入物体と同一の存在であることが確認されたため、Dクラス職員を用いた人体実験が許可されました。

実験記録965-JP-05 - 日付20██/8/██

対象: D965-JP-1

実施方法: 対象をSCP-965-JP-Aに侵入させる。人間を用いた初めての実験であるため、敵対行動等の可能性も考慮しSCP-965-JP-1の出現地点に外部から施錠可能な気密性の仮説小屋を設置し、D965-JP-1にはSCP-965-JP-A側のこの小屋に入るように指示する。実験室内は対象以外の人員を入れず、万一の場合は青酸ガス7を噴射しSCP-965-JP-1を終了させる。
結果: SCP-965-JPの反対側からSCP-965-JP-1が出現。予定通り仮設小屋内に収容した。小屋でのインタビューの後、指示通りSCP-965-JP-Aに帰還した。

分析: インタビュー時のあらゆる分析は、SCP-965-JP-1がD965-JP-1の完全な複製である事を示している。

インタビュー記録965-JP-01


実験終了後、小規模な収容違反が発生しました。

インシデントレポート965-JP-02 - 日付20██/8/██


この事件により新たにSCP-965-JP-2の存在が判明したため、幾つかの検証実験を行った後、██博士より以下の提言がなされました。

フルムーン・イベント中に入れ替わった空気のSCP-965-JP-1について今まで異常が確認されなかったのは、分子一個単位での転移によって発生する影響が極軽微であったというだけに過ぎない。むしろこれらに混ざって自然界に放たれたであろうウィルス・細菌・花粉・胞子などのSCP-965-JP-2の収容違反の方が遥かに厄介である。確かにこれらは左巻きDNAを持つため基本的に生殖活動や自己増殖活動は起こさず、タンパク質合成にも鏡像異性体のアミノ酸9が必須なため自然に死滅10するだろう。しかしこれらの実体が持つ鏡像異性体のアミノ酸やタンパク質が基準世界の生物に齎す影響は未知数であり、強毒として振る舞う可能性もある。また、複数種の生物のSCP-965-JP-2の収容違反が起きた場合、生態系を形作り基準世界の生物相を乗っ取る可能性も考えられる。これらの影響に対処する形で、特別収容プロトコルの大幅な改定を提案する。-██博士
承認する。-日本支部理事█

補遺3: SCP-965-JP-2調査実験の一環として、人間のSCP-965-JP-2の生成と検証を目的とした実験が行われました。

実験記録965-JP-11 - 日付20██/10/██

対象: D965-JP-1(前回の実験でSCP-965-JPの性質を知っているため採用されました)

実施方法: 対象をSCP-965-JP-Aに侵入させSCP-965-JP-1を出現させた後、フルムーン・イベント終了時まで待機させる。SCP-965-JP-2についての性質は、D965-JP-1には伝えられていない。また、SCP-965-JP-2の転移性質による影響を考慮し、転移先座標に機材等が存在しないようにSCP-965-JP-1を配置する。
結果: D965-JP-1は実験に抵抗を示したため、保安職員の手により持ち込んだ拘束具によってSCP-965-JP-A内部に拘束した。フルムーン・イベントの終了後SCP-965-JP-2に変化したSCP-965-JP-1は突如ショック状態に陥ったため、実験室内で高気圧酸素治療が行われた。回復後専用房にて目覚めたSCP-965-JP-2は、点滴のパッケージの文章を視認後混乱を示し、拘束を抜けだそうと暴れ始めた。沈静化後インタビューを行い、予後観察を行った。

分析: 転移による血中酸素の消失は動物実験により判明していたため、対処が可能であった。認識の混乱も動物実験で確認されていたが、今回の人体実験で原因が網膜の反転による受像の反転であることがはっきりした。

インタビュー記録965-JP-02

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