SCP-974-JP
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アイテム番号: SCP-974-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 財団は旧██邸の維持に努め、外部から見て建物が使用されているように偽装してください。この旧██邸の近くにダミーの屋敷を建設し、一般人はこちらに行くように誘導してください。財団職員は邸内に侵入することを禁止されています。実験によりSCP-974-JPと接触する必要がある場合、Dクラス職員に行わせてください。

SCP-974-JP-2が発生した場合、速やかに回収して下さい。SCP-974-JP-2には介助用の装置が取り付けられ、カウンセリングが行われます。Dクラス職員を除いたSCP-974-JP-2が終了を希望する場合、電気ショックによって終了してください。

説明: SCP-974-JPは██県██市に存在する旧██邸を徘徊する女性の人型実体です。周辺地域で調査を行った結果、仲人を生業としていた█████という現在行方不明の女性と特徴が一致しています。SCP-974-JPは基本的に建物内を徘徊するだけですが、人間と目を合わせた場合、活性化状態となり首から上が消失します。この消失現象が起こる原因となる人物(以下、被験者)はほとんどの場合男性ですが、女性の場合も存在します。

消失現象の発生後、SCP-974-JP-1と指定される頭部だけの女性が被験者の周囲に干渉するようになります。SCP-974-JP-1自体の姿は被験者以外には認識されません。しかし、第三者はSCP-974-JP-1が引き起こす事象から間接的に存在を認識することができます。被験者は常にSCP-974-JP-1から観察されている、もしくは何らかの干渉を受けているという旨の主張を行います。多くの場合、SCP-974-JP-1は1か月前後で被験者の周囲から存在しなくなります。これと同時期にSCP-974-JPの首から上が再出現し、再度徘徊を始めます。しかし、SCP-974-JP-1の干渉を受け続ける被験者もおり、共通点は現在のところ不明です。

活性化状態のSCP-974-JPは頭部が消失してから2か月過ぎた場合、被験者がいると思われる方向に進み始めます。この時、建物から出ると姿を認識することができなくなり、GPS以外では位置の特定は不可能になります。被験者はこの時期になるとSCP-974-JP-1の存在以外にも何者かにつけられているという主張をするようになり、2週間前後では家から出なくなる傾向にあります。この時、GPSによってSCP-974-JPの位置を確認したところ、被験者がいる部屋に入ろうと試みているような動きをしています。実際、音声記録において窓を叩く音や足音を確認することができます。透過することができる(実験記録XXX-1参照)にもかかわらず、このような行動をとる理由は不明です。被験者がSCP-974-JPを自身がいる室内に侵入させてしまった場合、被験者の首から下が消失します。この消失現象と同時刻にSCP-974-JPは建物内において再非活性状態で出現することが確認されています。

SCP-974-JP-2は消失現象により頭だけとなった被験者です。これまでに15名確認されており、現在7名が生存しています。SCP-974-JP-2は胴体が存在しないにも関わらず、生存を続けており、発声ができる等の理由から消失した胴体と何らかのつながりがあると考えられます。SCP-974-JP-2の主張では消失したはずの肉体には感覚があり、動かせるようです。

SCP-974-JPは██県のマンションにおいて友人が首だけになったという通報があったことで発覚しました。近くの警察署に潜入していた財団職員がSCP-974-JP-2を回収し、通報した友人は記憶処理後、解放しました。その後、SCP-974-JP-2の証言により財団は旧██邸を調査し、SCP-974-JPを発見しました。この時、エージェントの1人がSCP-974-JPと目を合わせ、SCP-974-JP-1を認識するようになりましたが、1か月ほどで認識しなくなりました。

インタビュー記録974-JP-01

対象: SCP-974-JP-2-1

インタビュアー: 東条博士

付記: SCP-974-JP-2-1はSCP-974-JPを発見するきっかけとなった人物。収容直後にこのインタビューは行われた。

<録音開始>

東条博士: こんにちは、SCP-974-JP-2-1。

SCP-974-JP-2-1: こんにちは、先生。

東条博士: それではあなたが今のようになってしまったことに関して何か心当たりはありますか?

SCP-974-JP-2-1: そう、ですね。変わったことと言えば2,3か月前の肝試しです。そこからおかしくなり始めました。

東条博士: そうですか。何故行こうと思ったんですか?

SCP-974-JP-2-1: その、女の子に良いところを見せようと思いまして。

東条博士: なるほど。

SCP-974-JP-2-1: ただ、正直なところ幽霊が本当にいるなんて思っていませんでした。それで、その、幽霊と目が合って、首が消えるのを見てしまったんです。

東条博士: そして、異変がそこから始まったと。

SCP-974-JP-23-1: そうです。最初は気のせいだと思いました。ですが、気づけば四六時中生首がこちらを見ているんです。テーブルの下からだとか、浴槽の中からだとか。

東条博士: あなたはそれに対して何かしましたか?

SCP-974-JP-2-1: お祓いくらいですね。怒鳴り散らしたりもしましたが、効果はありませんでした。

東条博士: それでは今のようになる前はどうでしたか?

SCP-974-JP-2-1: そうですね。生首以外の何かがいるように感じていました。外出中はずっと。

東条博士: その姿は見えましたか?

SCP-974-JP-2-1: いえ。ですが、物音は良く聞こえていました。ドアを叩く音だとか。特に覚えているのは窓ガラスが誰もいないのに叩かれたかのような音を出していたことですね。こう、窓自体も動いてました。

東条博士: それでは何があってそうなったんですか?

SCP-974-JP-2-1: わかりません。ただ、あの当時は外にいる見えない何かが怖くて外出できませんでした。でも、食料の問題もあって、友人にお願いしたんです。

東条博士: その時のことを詳しくお願いします。

SCP-974-JP-2-1: 確か、あれは窓の方にいたと思いました。それで、気づかれないように友人が来たタイミングでドアを開けました。でも、その、何かが走ってくる音が聞こえたんです。そうだ。あの時、友人の足の間から首だけの女がいた。あいつに気を取られてたらこうなってたんだ。

東条博士: なるほど。わかりました。それでは今のあなたの体の様子はわかりますか?

SCP-974-JP-2-1: はい。今は、たぶん、舐められています。こう、胸のあたりを。

東条博士: 他に何か感じたことは?

SCP-974-JP-2-1: たぶん、俺の体を舐めているのは一人です。たぶん、あの生首。あと、気になっているのは右手の薬指に何かが嵌められていることですね。たぶん、指輪かもしれません。

東条博士: わかりました。

SCP-974-JP-2-1: 先生、俺は元に戻るんですよね。

東条博士: 今はまだ無理ですが、努力します。

SCP-974-JP-2-1: 本当にお願いします。

東条博士: もちろんです。そろそろ時間なので終了します。

<録音終了>

終了報告書: SCP-974-JP-2-1はこのインタビューの3か月後に終了を希望しました。終了は速やかに行われました。

補遺: SCP-974-JPに関する実験記録。

追記1: 現在、SCP-974-JP-2を終了させるには薬物は用いられていません。薬物は注射後に未知の手段を用いて無力化されていることが判明しているためです。そのため、直接脳を破壊する物理的な手段、あるいは電気ショックを用いることで終了させます。この原因を探るためにも消失した胴体の位置の調査は続けられています。

追記2: 実験の結果、SCP-974-JP-2の終了後でも血液の循環やホルモンの調整が確認されました。このことから何らかの手段を用いて胴体の維持を行っていると考えられています。

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