SCP-CN-044
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アイテム番号: SCP-CN-044

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-CN-044は2m*1m*1mの鋼鉄製の容器内に保管され、容器には標準のパスワードキーがセットされます。職員はいかなる時も肉眼でSCP-CN-044を直接観測することは認められません。オブジェクトに対する試験には2名以上のクリアランスレベル3以上の職員からの許可が必要です。試験を開始する前には、専門認識災害対抗訓練を経験した職員の責任によってオブジェクトを実験現場に運送し、またオブジェクト表面の文字は外部から遮断しなければなりません。

説明: SCP-CN-044は1.8m*0.7m*0.7mの透明ガラスの水瓶です。底部には大量の傷痕と摩耗がみられます。オブジェクトのガラス板の外側には、ピンク色の塗料で乱雑に文字が書かれています。識別でき、かつ重複して見られる言葉としては「元気だよ」、「全てうまくいく」、「大丈夫」があります。

SCP-CN-044の効果は肉眼で観測した時に顕われます1。この時、オブジェクトの底部の一隅から塩分を0.7%含んだ水が湧き出し、容器を満たします。この過程は2-3分程度持続します。影響を受けた観測者はオブジェクトに近寄り、詳細に文字を観察しますが、その他の行為に改変は見られません。

SCP-CN-044に出現する文字には視覚認識災害の効果があることが実証されています。2-3時間後、被影響者はオブジェクトの所在地へと向かおうとする衝動に駆られます2。この過程を阻止された被影響者は、程度は異なるものの一定の焦慮と攻撃性を現し、SCP-CN-044との距離が200m以内の状況において、その態度はとりわけ強烈なものとなります3

SCP-CN-044の前に向かった被影響者は強い悲しみと恐怖を感じ、オブジェクトの周囲を徘徊し続けます。オブジェクトの付近に5分以上留まった個人には、幻覚が生じ、容器の底部に1体の横たわった人型実体(以下SCP-CN-044-1と呼称)を見ることになります。全ての状況において、当該実体の外見は、観測者の身辺で既に亡くなったか、或いは重篤な心的外傷を受けた人物に相似しており、顔面部の表情は苦痛に歪んでいます。SCP-CN-044-1に対する観測の継続は、当該実体に関連する記憶のフラッシュバックをもたらし、少数の影響者は自身が当該人物の視点からすべての記憶を経験したと報告しています。当該実体が模倣する個人が既に死亡している場合、SCP-CN-044-1は瀕死時の外形を表し、それにはすべての傷痕と外見上の変化が含まれます。

この状態において、被影響者は一切の外界からの交流の試みを完全に無視し、また約45%の被影響者は容器の内部に入ろうと試みるか、或いは幻覚中の実体をSCP-CN-044から取り除こうとします。身体の一部を水中へ入れた後、影響者は消失します。ハイスピードカメラの録画映像が示すところでは、無形の実体が被影響者の水中にある肢体を掴んでいるように見られ、その後力をこめて容器内に引き入れているように見られます。

24-48時間後、SCP-CN-044内の液体表面に油性顔料から組成され人型の輪郭が出現し4、更に水中に拡散します。形状を失う直前、人型輪郭からは痙攣、及びもがくような動作が観察され、これは顔料の水面での拡散速度を上昇させます。出現した人型輪郭の総数は、SCP-CN-044内へと進入した個人の数と一致しています。顔料の成分検査から、その組成が一般の油性顔料と相似しているものの、人間のDNAを含有していることが明らかになっています。顔料から検出されたDNAは、消失した影響者のDNAと符合しています。

最後の影響者がオブジェクトに進入した後、30日以内に新たな個人がSCP-CN-044を観測しない場合、その内部の水は自発的に分速200mlの速度で減少し空になります。この過程中、容器の周囲では発生源不明の微弱な喘ぎ声、呻き声と笑い声を聞くことが可能であり、██種類の声と既知の失踪者の声は合致しています。

収容経緯: 201█年夏、中華人民共和国██省███県公安局内に潜伏中の財団エージェントによって、一ヶ月間に58件の失踪事件が報告されました。更なる調査によって、失踪者の全員が███県内の現代芸術展覧会に参加していたことが明らかになりました。そのうち23名が最後に目撃された位置は展覧会の行われた画廊の付近であり、更に8名の失踪者は画廊の従業員でした。

現地の財団エージェントが公安人民警察に偽装し事件現場へと向かい、異常事件の原因を捜索しようと試みました。監視カメラの録画映像の調査が許可された後、エージェントは映像中に12名の失踪者と、3名の従業員を指揮し展示品を建物外に搬出させた女性を発見しましたが、画廊内部の監視カメラの数量が少なく、また雑多な遮蔽物が障害となり、具体的な手掛かりは発見できませんでした。画廊の従業員に対する尋問によって、録画映像中に現れる女性の名は鄭██であり、経済的問題と画廊の管理者とのトラブルによって、2日前に自らの芸術作品を画廊から撤去していることが明らかになりました。この手掛かりを基に、エージェントは対象が居住していたアパートに向かい、SCP-CN-044を発見しました。

この時、オブジェクト内の液体表面は大量の油性顔料で覆われていました。鄭██は不在でしたが、SCP-CN-044内部のガラスから鄭██と殆どの失踪した個人の指紋が検出されました。人員は瓶底からプラスチック製腕時計と対象がかけていた眼鏡を回収しました。対象は既に容器の内部に進入し、異常効果も消失したと推測されました。

11名のエージェントと収容チーム人員がオブジェクトの異常効果の影響を受け、そのうち3名がSCP-CN-044の運輸・収容過程中に容器内部に進入したことで、MIA5と認定されました。その後、急行した対応チームが残存人員を制圧し、全ての生存者にはBクラス記憶処理が施されました6

補遺CN-044-1: インタビュー記録

対象者: フィールドエージェント王█

インタビュー者: 2級研究員周羽

序文: フィールドエージェント・王█はSCP-CN-044の異常影響に被曝した一人で、かつて対応チームCN-4153で職務に就いていましたが、当該チームの隊長(故人)が収容違反中の事故により行動能力を失った後、フィールドエージェントの職務に就いていました。かつて対象と同じチームで職務に就いていたエージェント・███は、今回の任務中に失踪した3名のうちの1人です。

対象はインタビュー終了後Bクラス記憶処理を受け、2ヶ月の休養後原職に復帰しました。

<録音開始>

周羽研究員: おはようございます、エージェント。私は周羽、2級研究員で、今日のインタビューを担当します。先日収容過程中に発生した事故及び███の失踪に関して、本当に申し訳なく思っています。しかし、この件の一部始終を明確にするために、私はあなたにいくつか聞かねばならないことがあります。

エージェント・王█: (溜息)いいでしょう。始めましょう、博士。

周羽研究員: では説明をお願いします、貴方はいつからSCP-CN-044の異常効果の影響を受け始めたのですか?周囲の人の行動変化について察知していましたか?

エージェント・王█: なんて言えばいいか、私たちは客間であの水瓶を見つけ出し、その後それを車に載せ運送した後も、実際なんにも起きなかったんです。メンバーの挙動がおかしくなり始めたのは、サイトからおよそ10分ほどの路上にいた時です。後部座席に座ったみんなの顔色なんて碌に見てませんが、運転していた███はずっとあちこち見まわしていて、心ここにあらずといった感じで、何か心配事でもあるかのようでした。

対象は項垂れ、机を見つめている。

周羽研究員: 続けてください。

エージェント・王█: 私は彼に大丈夫か聞きましたが、彼はただ適当にうんと言うだけでした。数分後、彼は突然舗装されてない道へと曲がり、停車させたんです。彼が言うには、さっき車の後部からガシャンという音を聞き、ガラスが割れたと思うので、確認しにいきたいとのことでした。

周羽研究員: 貴方も同じような音を聞いたのですか?

エージェント・王█: いえ、しかし当時は誰も確かなことは言えなかったし、やはり███の耳は私たちより良かったし、数分前にはダンプカーが通ったばかりで、轟々と音がしていましたから、誰が音は遮られていたのだと知れたでしょう?

周羽研究員: そして貴方がたはいかなる異議も差し挟まなかったのですね?

エージェント・王█: 物品が運輸過程中に損壊した場合は処分しなければなりません、もしあの骨董が壊れていなくても、万一の場合を以て、検査するのは当然でしょう?しかしおそらくあの時効果は既に発生していたのでしょう、だから私たちはみな車を降りました。車のトランクを開けた後、あの水瓶はちゃんと箱の中にあって、でも……このときから、私は何かがおかしいと思い始めました。

周羽研究員: 具体的な感覚について説明できますか?

エージェント・王█: すごく言葉にしづらいんですが、私があの水瓶を見たとき、背筋に寒気が走ったように感じました——比喩は苦手なんですが、真夜中に無縁塚の中に立っていた時みたいな感覚でした。それは私が余所を見ることを許さず、私はただ表面のあのピンク色の文字を見つめていることしか出来ませんでした、水面上にはごちゃ混ぜになった顔料がありました。(沈黙)見つめれば見つめるほどつらくなっていきましたが、やめることも出来ませんでした。

周羽研究員: 周囲の人の中には、異常に気付いたか、離れようとした人はいませんでしたか?

エージェント・王█: 私は……そんなに注意を払っていませんでした、おそらく誰かが途中で離れていったのでしょう、じゃなきゃ最後の支援は誰が呼んだことになるんでしょう。ただ私たちはぼんやりとあそこに立っていて、動くことも出来ずに、あのガラス瓶を暫くずっと眺めていました。そのあと……中に物体が出現したのです。

周羽研究員: 貴方は以前仰っていましたね、貴方が見た物体は██軍曹、対応チームCN-4153の元隊長だと?

対象は15秒間回答を中断した。

エージェント・王█: そ……そうです。貴方は彼の最期をご存知でしょうね。

周羽研究員: この書類によれば、██軍曹は財団フロント企業の████療養院に3年入院し、2010年に自殺していますね。

対象は目を閉じ、両手を握りしめる。

エージェント・王█: あ-貴方は知らないんですね。陳さんの死の2日前、私は彼を見舞いに行ったのです。車椅子に座って、ちょっと動くのも大変だろうに、彼は変わらず穏やかで、何気ない様子で……話しているうちに、療養院の給食について冗談さえ言ってましたよ。わ-私は本当に知らなかったんだ、彼があの時既に準備出来てい-

周羽研究員: 貴方が当時見たSCP-CN-044-1個体について説明を続けてください。

エージェント・王█: (深呼吸)か-彼はどこから持ってきたのか、縄をベッドの上に括って……おそらく従業員が落としたものか自作したのか——(声がつかえる)私はただ彼があの水瓶の中で死ぬのを見ていました。首の痕はどんどん深くなり、顔色はチアノーゼのようで、指がズキズキとして……私、私は……

エージェント・王█は顔を覆い号泣し始めた。

周羽研究員: 本当に申し訳ないですが——

対象は突然痙攣し、頭を上げた。

エージェント・王█: そのあと私は見たのです、わ-私たちを。あの時私は陳さんになっていて、誰もいない部屋に座って、何度もチームの新年記念写真を見返して……私が送った保温杯7を手に持って……冷たかった、本当に冷たかった——誰も帰ってはこなかった。深い傷を負い、後半生はずっと無気力な様子で……(泣きじゃくる)本当に彼の母親はろくでなしだった!もし私たちがもっと彼に付き添うことができて話していれば、或いは最後に彼はや……

周羽研究員: ███は?彼の反応を見たのですか?

エージェント・王█: (溜息)か-彼はずっとあそこでぼんやりしてて……はっきり見たわけではないですが、その時彼は完全に崩壊していました。泣こうにも泣けませんでした。そのあと彼は突然ガラス瓶へと突進し、手を中に伸ばして私が瞬きすると、ほかの人はいなくなっていました。(中断)錯覚だったのかどうかわかりませんが……中に横たわった██がまるで腕を上げたように見えました。

周羽研究員: わかりました、ありがとうございました。貴方から他に補足がなければ、今回のインタビューはこれで終わりにしましょう。

エージェント・王█は答えず、項垂れたまま泣き続けた。

<録音終了>

補遺CN-044-2: 鄭██に対する更なる調査の結果、対象といくつかの過激な異常芸術団体との間に交流があったことが明らかになりました。医療記録によると、対象はかつて幾度も鬱病による心理療法を探し求めており、更に6ヶ月前には腎結石と診断されていました。展覧中にSCP-CN-044に貼られていた作品紹介は既に取り外されており、傍にあったごみ箱に投げ捨てられていましたが、表面に一行の手書きの文字が出現しました。内容は以下の通りです。

白昼の生活はわたしたちを溺死させる。
わたしたちの意識は水面に漂い、
わたしたちの悲痛は一つに溶け、
あなたたちが屈んで鑑賞しても、
痛みの真相を知ることはない。

Are We C

わたし、これまでCoolだったことないや。

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