SCP-CN-1210
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監督評議会命令

以下の文書はレベル4/CN-1210の機密指定を受けています。

レベル4/CN-1210クリアランスを持たずにアクセスする試みは記録され、閲覧者は終了されることとなります。



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身元確認中。視線を画像中央に合わせてください
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視覚反応は検出されませんでした。レベル4/CN-1210のセキュリティ証明書を入力してください
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確認完了。初級ミーム殺害エージェントを解除します
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アイテム番号: SCP-CN-1210

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-CN-1210-1は日本国██県██神社にて収容されており、当神社は補修中であると偽装した上で、観光客の立ち入りを禁止しています。収容区域には機動部隊-い-02(“執剣の巫女”)が常駐しています。機動部隊-い-02の隊員は通常、以下の基準を元に選抜されます:

  • 女性。30歳以下の者を優先する。
  • 武装や冷兵器による格闘の心得を有する。
  • 健全な聴力を有する。

機動部隊-い-02への加入を希望する職員に対しては、オブジェクトの危険性と受け得る被害が伝えられます。当部隊の隊員は儀式“毘盧遮那びるしゃな”の予行演習や完全暗闇状態での行動・戦闘訓練を行うと共に、クラスW記憶補強剤を服用した上で、SCP-CN-1210の報告書を閲覧することが義務付けられます。

SCP-CN-1210-3とは1時間に1度連絡を取る必要があります。SCP-CN-1210-3との連絡がロストした場合、収容区域から10キロメートル圏内の一般市民を退避させなければなりません。その後、機動部隊-い-02は儀式“毘盧遮那”を直ちに執行し、新たなSCP-CN-1210-3を生み出してください。新任のSCP-CN-1210-3は当部隊の指揮官に着任すると共に、当部隊の日常訓練を監督することとなります。SCP-CN-1210-3は状況に応じて、儀式“毘盧遮那”の手順に微調整を加える権利を有しています。

日没の直前、SCP-CN-1210-3はSCP-CN-1210-1の付近に待機しなければなりません。この際、冷兵器および速射式銃器の装備が推奨されます。SCP-CN-1210-3は武器を利用した上で、オブジェクト内部より出現するSCP-CN-1210-A個体を全滅させてください。ターゲットが逃走した場合は追撃しなければなりません。ターゲットの襲撃が元で死亡した者に関しては、標準埋葬プロトコルに基づいた処理が施されます。

説明: SCP-CN-1210-1はシラカバで作られた長方形の箱です。サイズはおよそ33cm*22cm*10cm、表面には真珠の装飾がはめ込まれています。オブジェクトは収容施設(██神社)の本殿内に固定されており、あらゆる移動や破壊の試みは失敗に終わっています。また、境内の建造物や調度品を観察し続けると、軽度の恍惚状態に陥ることがあります。クラスW記憶補強剤を用いることで、施設内に存在する無数の白いペイントアートを認識できます。

SCP-CN-1210-2はSCP-CN-1210-1内に置かれている能面です。能面の眼球部分は2本の鉄針に置き換わっています。歴史記録によると、SCP-CN-1210-2は蒐集院が制作した神具であり、“毘盧遮那”を執行する際に用いられることが判明しています。“毘盧遮那”は様々な神道要素を包含した複雑な儀式であり、5名の巫女による監督を要し、日没から日出にかけて執り行われます。
儀式を担当する巫女は伊勢神宮、熱田神宮、出雲大社、厳島神社、日光東照宮から選抜しており、巫女たちは収容区域に長期間滞在し、蒐集院による検査と訓練を受けます。
多くの実験を重ねた後、1度の儀式に参加できる巫女は各社1名のみとの取り決めがなされました1

儀式は主に以下の三要素から成り立ちます:

  • 遊戯「かくれんぼ」を真似ながら、1つ以上の定められた複雑なルートに沿って境内を移動する。SCP-CN-1210-Aから可能な限り逃走し、執行過程における死傷者を最小限に抑えるための行動。
  • 神楽「アメノウズメの舞」2を行う。この時、八咫鏡3を太陽が昇る真東に向かって配置し、神々が鏡を用いて岩戸から天照大神を誘い出し、世界に光を取り戻した伝説を再現する。太陽神要素を含んだ儀式を通して、SCP-CN-1210-Aへの攻撃能力を得るための行動。
  • 日出時、1名の執行者がSCP-CN-1210-2を装着する。執行者(以降、SCP-CN-1210-3と呼称)の眼球は損傷し、完全に失明する。その後、対象の毛髪は3~5日以内に白色へと変化する。執行者の視力を犠牲に、SCP-CN-1210-Aを観察・記憶する能力を得るための行動。

歴史記録によると、SCP-CN-1210-2とそれに付随する儀式は全て、蒐集院メンバーがSCP-CN-1210を収容するために設計した特別プロトコルであることが明らかとなっています。

SCP-CN-1210-Aは日没時にSCP-CN-1210-1内部から出現する、1体以上の不定形な実体の総称です。全ての実体は強烈な敵意と攻撃性を示しており、偽足や触肢を用いて被害者の身体を貫通/引き裂こうとします。不明な理由により、死者の眼球は全て消失しています。

数多くの実験から、SCP-CN-1210-Aを拘禁/制御する試みは総じて無意味であることが証明されています。オブジェクトは直射日光を忌避する傾向にありますが、反射された日光(月光等)や人工光には反応を示しません。オブジェクトは空間上に体積を持たないようで、いかなる障害物も損傷せずにすり抜けることが可能です(実弾兵器からの攻撃も含む)。また同時に、SCP-CN-1210-Aは非常に強い反ミーム的性質を備えています。SCP-CN-1210-Aと殺害された犠牲者、ならびに両者に関する全ての情報は記録/認識することが不可能となります。クラスW記憶補強剤はこうした効果を抑制できますが、あらゆる情報は3時間以内に全て忘却されます。

SCP-CN-1210-3はSCP-CN-1210-Aを長期的に記憶し、かつ損傷を与えることができる唯一の実体です。SCP-CN-1210-3は総じて盲目ですが、SCP-CN-1210に関するあらゆる情報や記録を視覚的に感知することが可能です。新たなSCP-CN-1210-3が生まれると、以前のSCP-CN-1210-3(存命中の場合)は異常性を喪失します。

補遺: SCP-CN-1210-3の交代記録(抜粋):
氏名 在任期間 退任事由 儀式の参加人数(巫女本人を含む)
さき 1772-1788 [データ欠落] 2人
すず 1788-1788 傷口感染による病死 2人
はるな 1788-1789 [データ欠落] 4人
かこ 1789-1816 事故死 1人
源 美恵 1816-1844 [データ欠落] 5人
あきら 1844-1850 [データ欠落] 2人
日奉 菊 1850-1877 暗殺4 3人
小林 絢子 1877-1901 事故死 4人
清水 蛍 1901-1945 戦災死5 5人
和田 雪 1945-1949 罷免 1人
月島 佳織 1949-1967 [データ欠落] 5人
Margaret Randall 1967-2003 自然死 4人
佐々木 愛恋 2003-2019 高齢退職 5人

補遺: 歴代のSCP-CN-1210-3が残した情報:

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    巫女になってからの初仕事は、姉妹の死をお知りになることです。いいえ、書置を残した巫女たちが故人であるという、明白な事実について述べているわけではありません。

    気付きませんか?歴代の儀式執行者たちは、いつも何人か欠けているということを。

    儀式の執行には5人の巫女を要します。巫女はより器用に、機敏になるべく、日々欠かさず鍛錬に励みます。怪物の現れる長夜において、1人でも生き延び、儀式を完遂するために。ひょっとすると、消えた方々はあなたの一番親しい仲間だったかもしれません。あるいはあの晩、あなたを庇ったことで、彼女たちは致命傷を負ったのかもしれない。ーーいずれにせよ、あなたはもう、彼女たちを覚えてはいないでしょう。

    いま外に出れば、境内に横たわる彼女たちの姿をまだ見れるかもしれません。ぽっかりと空いた眼窩の下には、見慣れた、あるいは見知らぬ笑みを浮かべているでしょう。これこそが、彼女たちがこの世に残した最後の痕跡なのです。彼女たちのことを永遠に覚え続けるか、そのまま忘れ去るかは、あなた次第です。

      • _

      申し訳ありません、先輩。ここまできてもなお、私は腹を決めかねておりました。拝殿にはいたるところに鮮血と骸がございます。先輩も体中、自分や敵の血に塗れております。私は黒が怖い。夜陰の中には猛獣が潜んでいると、どうしても感じてしまうのです。毎晩、私は必ず明かりを灯して、奴らを牽制していました。いいえ、私は巫女になることを恐れていた。視力を失うことで、無辺の闇に閉ざされることを恐れていたのです。

      私は誠に、どうしようない人間でございました。自分の他に、適任は居ないというのに。

      「先輩、盲目の世界はどのような感じですか?」私は尋ねました。残された時間はそう多くないと悟ったからです。先輩は私に頭を垂れさせ、目を瞑らせました。「絢子、何か見えたかえ?」私はまぶたをすり抜ける、淡い光を感じ取りました。それに、眼球から伝わってくる圧力と、血管の脈動する感覚を。「辺り一面、暗闇です」私は首を揺らして、分からぬ素振りを見せました。「恐れるでない、それは全くの暗黒ではないのだから」先輩は私の頬を撫でました。「第二のまぶたを閉じる時、そなたは光を目にするだろう」。

      感謝いたします、先輩。私はやり遂げました。光を見出せた気がします。

        • _

        絢子の件について、一つ述べておきたいことがある。天賦の強運は彼女に対し、怪物との死闘から生き延びる術を授けた。しかし、不慮の災難までは防ぐことができなかった。彼女は急ぎ歩いたあまり、階段から転げ落ち……私が見つけた時、彼女の胸には盆栽の支柱が突き刺さっていた。ひと目で手遅れだと分かる有様であった。

        眼部からの感染、戦闘、偶発的な負傷……巫女は往々にして、様々な原因で命を落とす。史料を100、200年前まで遡れば、さらに多くの原因が加わり、長々とした読み物になっていたことだろう。

        後輩諸君のためにも、何か手を打たねばなるまい。私は神社から全ての尖物を取り除き、絵を描き始めた。あらゆる壁や家具を、怪物の肖像で埋め尽くすのだ。さすれば、巫女は己が持つ特有の感知力で、モノの輪郭を掴めるようになる。もう二度とぶつかることはないだろう。

        これには10年20年、あるいはより多くの時間を費やすかもしれない。それでも私は、これが価値あるものだと信じている。

          • _

          また私一人になってしまった。なぜだろう?

          毎日、空をつんざく飛行機の音を耳にする。ある時、私はふと思うようになった。

          操縦席に座る人たちは、どんな顔をしてるんだろう。

          ねえ、ほたる、聞こえてる?崩れた鳥居は私の方で直しておいた。ついでに、神さまの絵をたくさん描き込んだの。あなたがしてきたように……

          見えるかしら?あなたの顔は白い布に覆われている。私はあなたを、桜で満杯の木箱に収めたの……感じる?

          またアレに出くわした。アレは私に、たくさんの手を伸ばしてくる。ひょっとすると、アレは単に寂しいだけかもしれない。

          ねえ、私は雪、ユキって言うの。私が生まれた日、雪がどかどかと降り積もって……孤独だった。あなたみたいに、ずっと一人きりだった……

          聞いた話だと、また雪が降り始めたそうよ。黒色の雪が。ひらひらと舞い落ちる、止めどない大雪が……

          ねえ、なんで手を繋いでくれないの?どうして?私が悪い人で、殺さなくちゃいけないから?そうね、そう、やっぱり私は、悪い人……

            • _

            GOCの一行がやってきた。彼らは銃や火炎放射器、抗忘却薬を持参している。前任の巫女は気弱過ぎて実験を拒み、更迭されてしまった。彼らはプロメテウス研究所の技術を用いて、彼女の目を完治させた。本当にやってのけたのだーー私の中で、この名状しがたき恐怖から逃れられる、一筋の希望が芽を出した。彼らの士気は高く、装備も精強だ。彼らは弾を込めると、さながら密集した雨粒のように、乾いた音を轟かせた。

            いいえ、彼らを過大に評価すべきではなかった。彼らの弾はただ穿っただけに過ぎず、怪物を激しく怒らせてしまった。アレは彼らを八つ裂きにして回った。やがて、東より太陽が昇ってきた。運良く生き延びた兵士に震えた声で毒づかれながら、私は怪物の影に飛び込み、頭に木剣を突き刺した。それから3時間ーーたったの3時間後。恐怖と憤怒は彼らの顔より消え失せ、困惑と忘却に取って代わられた。にもかかわらず、彼らはまた銃を携え、怪物をあちこち探し始めたので、私は彼らを叱りつけ、捜索を止めさせる羽目になった。

            蒐集院はやはり、財団に吸収されることとなった。財団の福利は思った以上に充実している。夏祭りの日、私は雪と思いがけず再会した。浴衣を着た雪はすこぶる楽しそうに、新たな友人とじゃれ合っている。彼女は数年、あるいは十数年分の記憶を失っており、私のことも覚えていないようだった。彼女をいくらか恋しく思う。

              • _

              私は神社から1キロほど離れた場所に、墓地を設けました。道標を付けたので、順に辿れば行き着くはずです。

              そこには歴代の巫女と犠牲者たちの遺体が埋まっています。老若男女、幼子すら存在します。運が良ければ、私の亡骸も埋めることができるかもしれません。彼らは干からび、萎びきってはいるものの、虫や菌からも見放されているため、一向に腐敗する気配を見せません。近所の住民は時折、私に疑問を投げかけることがあります。「自宅に何故か余分な食器がある」「揺り籠なんて、うちには必要ないのに」「生涯未婚の男性に、どうして血の繋がった子どもがいるのだろう」などと。

              良いニュースがあります。死体がこれ以上増えることはなくなりました。収容プロトコルを固めるため、私たちはより多くの資源を使えるようになったのです。悪いニュースとしては、彼らの疑問にまるで答えられないことでしょうか。実際の所、私は一介のアメリカ人です。巫女としてどう振る舞えば良いかなど、分かる訳がないのですから。

              「あれはあなたの忘れたご家族です。彼らは主の救済を得て、天国か何処かに旅立ちました」だなんて、口が裂けても言えません。実におかしな話です。

                • _

                君がこの文書を読むのはこれが初めてではない。君は恐らく、一切の記憶を失っているだろうが、こちらはしかと覚えている。君たちは皆、私が成長を見届けた子どもたちだ。数十年に渡る訓練は、とうに君の脳深くに焼き付いている。強烈な反ミームですら、君の本能を奪うことはできないのだ。

                我々はこの時代に感謝せねばなるまい。アノマリーの収容は周密な手順と厳重な保護の下で執行されている。長きに渡る訓練と、短機関銃の配備により、着任から今日に至るまで、SCP-CN-1210の収容違反は1度たりとも起こることがなかった。

                これは君が16013回目に閲覧する文書だ。心配は要らないし、恐れることもない。君はもう備えているのだから。













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