SCP-CN-573
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アイテム番号: SCP-CN-573

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-CN-573はサイト-CN-52の標準型収容室に保管されます。ビデオカメラに精通した2名の研究員が、主要な管理を担当しています:SCP-CN-573に更新が確認された場合、研究員はビデオカメラで“全体図 → 12分の1 → 108分の1”の順に拡大しながら、SCP-CN-573を撮影してください。██7回目の更新を受けて、SCP-CN-573は現在、サイト-CN-52の大型収容室-02に保管されています。更新内容の記録は自動化されたビデオカメラによって続けられています。

説明: SCP-CN-573は写実的な油画です。額縁にはスペイン語で“Guernica y luno”1と記載されています。発見時、絵画には街の中心部が描かれており、教会と住宅街が観察されました。収容から3時間後、サイトで大規模な停電事故が発生。事態の収束後、財団職員はSCP-CN-573の1回目の更新に気づきました(詳細は付録573-1を参照)。その後も█時間~█週間のペースで、絵画の内容は自動で更新されています。現在に至るまで、財団はSCP-CN-573の更新プロセスを観測できておらず、SCP-CN-573のサンプルからオブジェクトの具体的な制作年代を調べる試みも失敗しています。

絵画の更新内容の殆どは、ゲルニカ市民とナチスドイツ軍との戦闘風景となっています(詳細は付録573-1を参照)。分析の結果、多くの更新において、明らかに場違いな画風の人物が紛れ込んでいることが判明しており、当人物はSCP-CN-573-1と呼称されています。SCP-CN-573-1が登場しない更新においても、絵画の場面はSCP-CN-573-1の存在を示唆するものとなっています。

SCP-CN-573-1は通常、キャンパスの片隅に出現することが多く、分析によると、SCP-CN-573-1は[データ削除]である可能性があります。

付録73-1:

SCP-CN-573の更新記録

更新回数 更新内容 備考
1 殆どが廃墟と化した都市。廃墟の近くには、鉄十字マークの付いた“スツーカ”爆撃機が横たわっている。市民が残骸を囲んで躍り上がっており、整備士(或いはメカニック)と思しき人物が、爆撃機の機関砲を解体している。 初めての更新。研究員は、SCP-CN-573-1が廃墟の屋上に佇んでいたと記憶している。
5 市民が機関銃を改造した高射砲を用いて、空中のドイツ空軍を攻撃している。都市の被害の度合いとドイツ機の残骸は、数回の戦闘が行われたことを示している。 収容プロトコルが策定され、ビデオカメラでの記録を開始。SCP-CN-573-1は背景のぼやけた人影の中にいると推測される。
17 メッサーシュミット戦闘機が2軍に分かれ、ドッグファイトを繰り広げている。一方は鉄十字、もう一方は“Guernica y luno”とペイントされている。戦況は膠着しているように見える。 都市が描かれない初めての更新。████研究員は背景の雲が人の顔に見えると指摘。SCP-CN-573-1の存在を察知し、収容プロトコルが更新される。
18 都市の損傷は軽微。ある壁には“フランコのカマ野郎”と落書きされている。SCP-CN-573-1は空を見上げている。 SCP-CN-573-1は空戦を眺めていると推測される。
27 市民が塹壕を掘っている。市庁舎の前には1両の戦車が走っており、市外に向かっているように見える。戦車の側面にはスペイン語で“帝国を征服できても、街を征服することはできない”とペイントされている。 SCP-CN-573-1は庁舎前の群衆と一緒に、走り去る戦車を見送っている。閲兵式の場面だと推測される。 都市の状況から判断するに、“画中世界”のナチスドイツは既に[データ削除]を占領した可能性がある。
29 完全なる廃墟。 N/A
31 市民と武装親衛隊が市街戦を繰り広げている。双方の武器には、ベトナム戦争以降に実用化されるはずの火器や兵器が用いられている。SCP-CN-573-1は絵画の隅に登場し、もう1人の市民と共に、3人の親衛隊と戦っている。 更新直後、2名の記録人員が突如錯乱。更新内容は[データ削除]戦争に参加した2名のエージェントによって記録された。本来の記録人員は鎮静後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っている。
32-41 同様な戦闘風景。ただし、画中の人物は前回の更新と全く異なっており、背景にもいくつかの変化が見られる。 SCP-CN-573-1は見られない。今回の更新は31回目と同一の時間軸にあると推測される。
52 1個連隊規模の武装親衛隊が、市民に包囲されている。残存する市民は███人と推測される。 SCP-CN-573-1の日記が初めて出現する。内容は解読できなかった。
56 市民が市庁舎を建て直している。都市の科学技術は19██年の水準に達しているように見える。 SCP-CN-573-1の日記: 今日、我々は勝利した!
99 (インシデントCN-573、無理に移動させたことにより、オブジェクトを床に叩きつけてしまう。絵画の内容は大部分が廃墟となった都市に変化した) (インシデントを受け、オブジェクトに物理的干渉を行う試みは一切禁止された)
101 都市が復興する。 SCP-CN-573-1の日記: ゲルニカは不滅!
200 閲兵式。████人の親衛隊捕虜が、遠方にある処刑場に急かされている。SCP-CN-573-1は歓喜する群衆の中に佇んでいる。注意すべきことに、捕虜には身体的/心理的な虐待の形跡が見られる。 SCP-CN-573-1の虚ろな目は、あの人だかりの中で特に目立っていました。- エージェント・劉
210 都市の中心部。ビルにはスペイン語で“ゲルニカ帝国は世界へ進む“と刻まれている。SCP-CN-574-1は画中に存在すると見られているが、位置は特定できなかった(備考参照)。 絵画の更なる分析は、SCP-CN-574-1が絵の端にいることを突き止めたものの、次の更新が発生したため、職員は明瞭なイメージを撮影できなかった。
213 都市中心部にある銅像の周りで、市民が祝賀大会を開いている。SCP-CN-573-1は非常に奇妙な姿勢で群衆に歩み寄っている。 銅像と市民には非人型生物の特徴が表れている。
2██ SCP-CN-573-1が演説をしている。聴衆は2種類の反応を示している: 大部分は冷淡、一部は歓喜。 N/A
2██ ゲルニカ帝国が[データ削除]に大虐殺を行う場面。詳細は伏せられる。 最も長く持続した更新。更新に伴い、記録担当者は撮影を始めたものの、█秒後に錯乱を起こしたことが、監視カメラの映像より判明。職員の回収中、エージェント・█は絵画を意図せず直で見てしまったため、深刻な心的外傷を受けた。事故の噂は即座にサイト中に広まり、士気の減少を招いた。絵画内容の記録は、中国支部本体の介入によって完遂された。その後、オブジェクトはサイト-CN-52に移動された。サイト-CN-52の元管理官・李博士が提出した「当インシデントを応用して、攻撃用のミーム兵器を作成する」案は却下された。
266 反戦パレードに100人の市民が参加している。SCP-CN-573-1の行方は不明。日記は絵画の端に、破り捨てられた状態で描かれている。 日記の最後の出現。
268 96人の怪我をした市民が、100人以上の市民により包囲されている。注意すべきことに、市民の外見は前回の更新と比べ、より獣に近づいている。SCP-CN-573-1は絵画の端に横たわっている。 エージェント・██はSCP-CN-573-1の表情について「死のうとしているみたいだ」と供述。
270 都市で閲兵式が行われている。閲兵台2を通り過ぎる兵隊の姿は、完全な獣と化している。閲兵台は都市中心部のビル跡地に設けられていた。SCP-CN-573-1はシュレッダーにかけられた紙の山を踏みつけており、顔は歪んでいる。対象は笑っていると推測される。 紙片は[データ削除]
██7 分析の結果、画中の光景は少なくとも2度のKクラスシナリオを経た上でなければ、現実世界では成立し得ない状況にあることが判明した。 (インシデント574: ███回目の更新の翌日、オブジェクトから大量の致命的放射が発生。現場にあったあらゆる記録設備が破壊され、記録担当者はKIAと認定された。今回の更新はサイト-CN-52に対し、甚大な被害をもたらした。サイトデータバンクは大量の電磁放射によって破壊され、一部の収容プロトコルが破綻。SCP-CN-███およびSCP-CN-███を再収容するまでの間、1█名のエージェントが負傷した。サイト管理官は今回のインシデントの責任を負い、解任された。その後、SCP-CN-573の収容プロトコルは再び更新され、現行の体制が確立した。現在、インシデント中の異常性が残存しているかどうかに関して、オブジェクトへの観察を通した確認が行われている。
██8 キャンパス中央、やや下の位置に、1輪の花が咲いている。 最新の更新。
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