SCP-ES-173
評価: +14+x
SCP-ES-173.jpeg

1846年に描かれた太陽系の想像図

アイテム番号: SCP-ES-173

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-ES-173の周囲には、500℃の高温に耐性を持つ難燃性素材で被覆された20基の人工衛星を周回させます。人工衛星は8年ごとに交換します。この人工衛星は光の周波数を操作し、SCP-ES-173を視認不可能にする機能を持ちます。NASAおよび各国の主要な天文台に潜入した財団職員がSCP-ES-173に関する全ての研究および観測データを検閲、妨害し、一般社会からその存在を秘匿します。

SCP-ES-173のテレパシー対象はサイト-34の施設に居住させます。SCP-ES-173が生贄を要求した場合、対象は映写室に行き、アステカ文明の生贄の儀式を描いたフィクション映画を見てください。

4か月ごとに、信頼性の低いWebページで、惑星バルカンの存在についてのニュースが発表されます。このニュースの発行元として、陰謀論、都市伝説、UFO研究などに関連したアカウントが用意されます。

著名な科学者やメディア露出の多い専門家が、惑星バルカンの存在について真剣に理論を確立しようとしている場合、以下の2つのプロトコルのうち、どちらを実行するか決定するため、対象を調査します。マグナー博士の辞任以降、フェロー博士がこのプロトコルを担当しています(補遺173-2参照)。

対象が財団にとって有益と判断された場合、財団に雇用します。雇用後、惑星バルカンは存在しないという研究結果を完成させるように指示します。

対象が財団にとって有益と判断されなかった場合、2つ目のプロトコルに従って対象の理論は否定されます。対象が科学界での信用を失うように、不利な情報を流布し、対象の論文に疑惑を発生させます。

説明: SCP-ES-173は水星と太陽の間を周回している惑星に類似した地球外生物です。SCP-ES-173の直径は1900〜2200kmほどであり、質量は約1.943×1022kgです。軌道の変動は検出されていないため、自力で運動することはできず、重力によって公転するのみであると考えられています。

SCP-ES-173は太陽との距離が0.1321〜0.1427au1と非常に近く、日食時にのみ観測することができます。そのため、現在ではその存在を秘匿することに成功しています。SCP-ES-173はその質量のため、水星の軌道に変化を及ぼし、19世紀の科学者たちは水星と太陽の間に存在する小さな惑星についての理論を構築していました。彼らはその惑星をバルカンと名付けていました。

SCP-ES-173は他の生き物とテレパシーでコミュニケーションをとることができ、思考と感情を伝達することができます。SCP-ES-173は1人の被験者のみを対象にテレパシー経路を維持します。対象が死亡した場合、付近の別の被験者を対象に移し替えます。また、SCP-ES-173は自由に対象を移し変えることができるようです。この自由な移し替えは現在までに4回確認されており、全て財団の要請によって行われました。SCP-ES-173は「常に同じ人間を対象にしている方がより快適に感じる」という思考を伝えてきました。

SCP-ES-173とコンタクトできるのはSCP-ES-173がそれを希望する時だけです。財団からSCP-ES-173にコンタクトを取ろうとする試みは全て失敗に終わっています。コンタクトが行われなかった最長期間は4ヶ月です。不定期的にSCP-ES-173は人間を太陽神への生贄として捧げたアステカの儀式を真似るよう対象に求めます。儀式を行わなかった場合、事件173-1と同様の事態が発生し得ます。

SCP-ES-173はフィクション映画と現実を区別できないことをマグナー博士が発見するまで、財団は何十年もの間、事件173-1の再発防止のため、生贄の儀式を行う必要がありました。マグナー博士の発見以降、SCP-ES-173に生贄の要求を受けた対象は、アステカの儀式を扱うフィクション映画を見ることでSCP-ES-173を沈静化する事ができます。サラ・ルートンはSCP-ES-173に対して行われた最後の生贄として記憶されています。

発見: 財団は、1825年に「5番目の太陽のしもべ」と呼ばれるカルトに潜入調査をした際に、その存在を認識しました。5番目の太陽のしもべは、財団によって解散させられる以前に20人以上を生贄として殺害していました。カルトの司祭はSCP-ES-173とテレパシーで交信しましたが、それを太陽と混同していました。彼は財団に身柄を確保され、サイト-34の標準人型実体収容セルに収容されました。

司祭は収容セル内で自殺しました。その1時間後、SCP-ES-173は付近にいた財団職員のグライス博士にコンタクトを取り始めました。両者の間に関係は認めらず、対象の死亡時、SCP-ES-173は無作為に距離の近い人物を次の対象として選択すると考えられます。

補遺 173-1
マグナー博士は鬱病に苦しんでいたため、職務を離れ、休暇を取ることになりました。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。