もう一度、会わせてくれ
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俺はさっき電車に轢かれた、らしい。
何故轢かれたのが分かったのは目の前にバラバラの俺が居るから
何故"らしい"なのかは俺は俺として今存在している、らしいから

死んだとしたらまずい、今日は久々に彼女と会う日だったのに
お互い忙しいから月に一度会えるかどうかのレベルなんだ
そのために俺は頭下げて休み取って、オシャレな服買って、慣れないパーマかけて、夜景のキレイなレストラン予約して……

ほんと、何で死んだんだろうな
誰かに突き落とされたか
たまたまぶつかってその拍子か
ただ俺が疲れてて足がふらついただけか

ごめんな、母ちゃん
こんな親不孝者で
でも俺だって死にたいわけじゃなかったんだ
ごめん

あーせっかくの服がズタズタだよ
パーマもかけたのにぐちゃぐちゃの血まみれだ
財布どこだ、あそこにレストランの連絡先書いた紙入れてたのに

やるせねぇよ
もっと話したいことあったよ
まだBすらもいってねえよ
結婚だって考えてたよ

ちくしょう

ホームに人集まりすぎだろ
そんな俺の姿見ようとするな
……とりあえず離れるか


駅をふらついてみた
そこで分かったのだが、なぜか構内から出られない
改札はSuicaにうんともすんとも反応しない
飛び越えようとしたら見えない壁があった
線路に降りて歩いたら駅のホームの端あたりでまた見えない壁があった
地縛霊ということだろうか
ふざけんな
俺はここに未練があるわけじゃない
出せ
ここから出せ
出してくれ

俺は別に悪いことしようとかなんてしてない
ただ彼女に会いたかっただけなんだ
そして今日、結婚しようって言おうとしただけなんだ

会わせてくれ
会いたい
頼むから
もう一度
彼女に会いたい

その時だった
俺は駅の端っこにさっきまで無かったはずのホームを見つけた
ご丁寧にそこまで通じる階段もある
おかしい、確かにあそこには何もないはずだった
周りの人も気づいて無さそうだし

そして俺はその上にある電光掲示板にすぐ目を奪われた
"快速 波多野 弘子行き"
間違いない、彼女の名前だ

俺はすぐに走り出した
あそこに行けば彼女に会えるのか
発車まで時間がない
急げ
あれに乗れば会える

ホームまで辿り着いたと同時に、一番近い扉まで駆け込んだ
扉はすぐ締り、電車は走り出した
乗客は俺以外いない

俺は死んでから初めて駅を出られた
久しぶりの外の景色、そして彼女に会えるかもしれないというのは、この怪しい現状を上回るものだった
今まで気が張っていたのが自然とほぐれるようで、俺は強い安心感に包まれた
それまでの疲れもあり、俺は電車に乗って早々に寝ていた


彼が電車に轢かれて死んでからもう何ヶ月くらい経ったかな
私はまだ彼を忘れられない
忘れたくない

今日はネットで噂になっている死んだ人と会える踏切に来た
周りの人は色々言うけど、私にとってはこれは望み
どんなオカルトだっていい、彼に会えさえすれば

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