SPC-1485
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中央情報管理局ならびにプロジェクト運営事務局C  I  C  A  P  O  C  Oによる通達

 
SPC-1485は現在推進中のプロジェクトです。並行世界全域は鮫信奉者グループの支配下にあると予測されており、鮫科存在を自由に殴打する環境を構築するため鮫信奉者グループの殲滅計画が進められています。それに伴い、一時的に並行世界への渡航及び内部でのサメ殴り活動を禁止しています。

並行世界の人類に対するサメ殴り啓蒙活動はサメ殴りセンターの責務です。啓蒙活動の効果を高めるため、並行世界の技術の発展に合わせて媒体を問わずサメ殴りを推奨するよう働きかけて下さい。
 


プロジェクト番号: SPC-1485

鮫科殴打ケイパビリティ: 並行世界を支配する信奉者グループの排除により並行世界に生息する鮫科存在を自由に殴打する事が可能となります。 並行世界の人類へのサメ殴り啓蒙活動は並行世界の人類に対する救済に繋がります。

プロジェクト構成: SPC-1485は埼玉県秩父市に存在する9.71m×10.54mの外次元的な時空間異常を構成要素に含みます。この時空間異常は我々の住む世界(本文書中では"ベース・ライン"と呼称)と、特定の並行世界との間の遷移ポイントとして機能します。時空間異常は酸素や二酸化炭素など大気中の物質を透過しませんが、人間及び鮫科存在を含む他の物体は通過することができます。サメ殴りセンターは並行世界において新たな鮫科存在の発見が期待できると判断し、並行世界内部の詳細な調査を行いました。

並行世界は鮫科存在を除きベース・ラインの世界と類似しています。ベース・ライン世界全人口のおよそ3/4にあたる人物について、彼らに対応する人物が平行世界に存在し、ベース・ラインと同様またはほぼ同一な生活を送っています。

並行世界は、鮫科存在の行動や性質を著しく制限する異常な作用が存在する点においてベース・ライン世界と区別することができます。その一例として、基本的に鮫科存在の生息域は海中に限られており、空や陸上、地中における発見例がありません1。その異常な作用の存在について主張した場合、並行世界の学術的/科学的コミュニティから取るに足りない妄言として扱われます。

並行世界の時空間異常発生元の秩父市市長と外交的接触が行われましたが、鮫科存在との戦闘に関する知識が乏しい事に加え、現地の警察の介入を示唆する発言を繰り返したため接触が打ち切られました。また、並行世界内の複数の地点で接触した住人の全てが同様の反応を見せた事から、並行世界全域を支配する鮫信奉者グループがほぼ確実に存在すると考えられています2

殴5評議会は並行世界内の鮫信奉者グループの詳細が判明するまで並行世界への自由な渡航及びサメ殴り活動を禁止しました。スティーブン上級殴打エージェントによる調査により、並行世界ではサメ殴りセンターに相当する組織が存在しない3事が明らかになっています。

補遺-1: 並行世界を調査中のスティーブン上級殴打エージェントから「我々は自分の拳でサメを殴る事だけを考えていて本当に良いのだろうか」との連絡を受けました。殴5評議会は殴打憲章3条4に反するとしてスティーブン上級殴打エージェントの処分を検討しましたが、サメ殴りセンターは殴打憲章3条の違反者に対する罰則を想定しておらず5、処分は一時保留となりました。通信機器の故障による誤報や、並行世界のサメ殴り活動禁止により精神状態が不安定となった可能性が十分に考えられるため、スティーブン上級殴打エージェントとの対話が試みられました。

会話記録SPC-1485- 日付1970/██/██

[インタビュー担当者:ロイ上級殴打エージェント]

ロイ: スティーブン、私がここに来た理由は分かっているね?

スティーブン: ああ、殴打憲章3条違反の件だろう?

ロイ: 私としては誤報ではないかと考えているのだが。どうだろうか?

スティーブン: いや、誤報じゃないんだ。この世界の事を知れば皆が殴打憲章3条が本当に正しいのか疑問に思うようになるさ。

ロイ: [5秒間の沈黙] スティーブン、やはり君は少し休んだ方が良いようだ。今日はサメ殴りセンター保養所のパンフレットも持ってきたんだよ。

スティーブン: ロイ、君の言いたい事は分かるんだけど、まず先に僕の話を聞いて貰ってもいいかな。

ロイ: それもそうだな。よろしく頼む。

スティーブン: ではまず、この世界は奇妙な事に鮫科存在の性質や行動を制限する異常な作用があり、鮫科存在はほぼ海中にしか生息していない。ここまでは把握してるよね?

ロイ: ああ、報告書に書いてあったな。

スティーブン: その辺りを踏まえてこの写真を見て貰いたいんだ。これは海水浴場で開かれたサマーフェスタを視察した写真でね。

[写真には多数の金髪の美女が海水浴場で泳いでいる姿が写っている]

ロイ: 何だこれは。海中がサメの大好物だらけじゃないか。鮫信奉者グループがサメの餌場でも作ったのか?

スティーブン: 僕もそう思って止めようとしたんだけど、サマーフェスタの主催者に警察を呼ばれてしまってね。会場に戻るまで1時間くらいかかったんだ。

ロイ: 主催者も警察も鮫信奉者だったのか。何人くらい生き残ったんだ?

スティーブン: 全員だ。誰一人サメの被害を受けていないんだよ。

ロイ: それは妙だな。この世界にサメ殴りセンターは無いはずだろう。誰がサメを撃退したんだ?

スティーブン: 実は、サメの襲撃自体が無かったんだ。

ロイ: 冗談も程々にしてくれ。この写真には金髪美女だけじゃなく、陽気な黒人、ベテランの漁師に退役軍人のような男までいるじゃないか。彼らが泳いでいるのに誰一人サメに襲われないなんてあり得ないだろ!

スティーブン: 僕も不自然だと思って調べてみたんだ。聞いて驚くなよ、実はこの世界のサメは臆病で、他の生物と間違わない限り人間を襲うような生き物ではないんだ。

ロイ: [10秒間の沈黙] 嘘だろ。

スティーブン: いいや、この世界ではこれが現実なんだよ。サメに食われるより雷に撃たれて死ぬ確率の方がよっぽど高い。海中でしか遭遇しないし、この世界の人類の大多数はサメに対して特に関心を持っていないんだ。

ロイ: つまりその、まさか、鮫信奉者グループがこの世界のサメ殴りセンターを駆逐した訳ではなく、そもそもサメを殴る文化自体が生まれなかったと言う事か?

スティーブン: そういう事だよ。道理も何もない狂った世界だ。

ロイ: 待てよ、もしサメ殴りの概念が無いのが事実だとしたら、この世界の人々は一体何を楽しみに、いや、何のために生きているんだ?

[スティーブン上級殴打エージェントは首を横に振った]

スティーブン: 君は、僕がサメ殴り禁止令による苦痛で精神を病んでしまったと思っていたよね。僕も君の立場ならそう思うさ。だけどこの世界の人々は、サメ殴りの禁止でなぜ苦痛を感じるのか理解する事すら出来ないんだよ。

[ロイ上級殴打エージェントは口元を両手で覆い、目を見開いている]

スティーブン: 僕はこの不幸な世界を見ている内に、殴打憲章3条の事を疑問に思うようになってね。サメ殴りの素晴らしさを伝える事も、サメ殴りと同じくらい重要なんじゃないかな。

ロイ: ノブレス・オブリージュか。従来のサメ殴りセンターには無かった観点だ。具体的には何をするつもりなんだ?

スティーブン: ベース・ライン世界の真実を、この世界の人達にフィクションとして見せてあげようと思う。サメを題材とした映画を作れば彼らにも我々の気持ちが伝わるはずさ。

殴5評議会はスティーブン上級殴打エージェントの意見を全面的に支持し、サメ殴りの啓蒙活動がサメ殴りと同等に扱われるよう殴打憲章3条を改定しました。また、それに伴いSPC-1485の目的及び計画の見直しが行われました。

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ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドのサメと戦う人気アトラクション

補遺-2:
スティーブン上級殴打エージェントはサメ殴りセンターの支援を受け『JAWS』を完成させました。1975年に公開された『JAWS』は当時の興行収入歴代1位を更新し、世界的な大ヒットとなりました。ユニバーサル・スタジオ系列のテーマパークでは『JAWS』のアトラクションが制作され、サメへの憎悪を煽り殺害を体験出来る施設として高い人気を博しています。『JAWS』の影響で並行世界内でもサメは人類の敵と認識されるようになり、積極的なサメの駆除が行われ、多数の種類のサメを絶滅危惧種に追い込む事に成功しました。スティーブン上級殴打エージェントは並行世界内におけるサメ殴りセンターへの活動資金援助と、人類史上最もサメを死に追いやった功績が認められ、現在は映画監督兼殴5-13としてサメ殴り活動を行っています。

サメ殴りセンターはこの成功を受けて多数のノンフィクションサメ映画6の公開を行いました。サメ殴りセンターによる並行世界内での啓蒙活動7は映画などのオールドメディアに限らずインターネットなどのニューメディアでも推進されており、近年目覚ましい効果を上げつつあります

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