任務のあとで
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「いや助かったよ、あの時兄ちゃんがトランプとネギをカバンに入れといてくれなかったら、きっとあたしは死んでいたな」
「ありあわせだったけど上手く行ったみたいで何よりだよ、やっちゃん」
「よせやい兄ちゃん、山田でいいよ」
どこかの居酒屋で、男女が酒を飲んでいた。真っ赤な礼服を着た男と、たんぽぽ色のジャージを着た女。どちらも整った容姿ではあったが、その不気味なまでに似通った顔を見て、男女の仲を連想する人間はまずいない。
「しかし兄ちゃんは凄いよなー、なんで私たちのピンチを毎回予測できるかね」
「なんとなくだよ、兄弟だろ?」
「いや凄ェよ。伊藤ちゃんが言ってたけどさ、何となく胸騒ぎがして兄ちゃんに電話したら、いきなり『伏せろ!』って言ってさ」
「まあいいじゃないか、細かいことは」
残ったビールを妹のグラスに注いでしまってから、男は席を立つ。
「トイレ行ってくるから。しかし山田、“死んでいた”って、今日こそはお前らの仕事、詳しく教えて貰うぞ」
「うー、分かりました」
女の声を背中に聞きながら、男――田中田中――は店員に場所を聞き、トイレに入る。


用を足しながら彼は、きょうだい、というものについて考えていた。
可愛い弟なんて幻想さ、実際はただウザいだけーーそう言う同僚もいたが、彼はそうは思わなかった。兄弟はいつだってこころで繋がっている。事実、田中は昔から、自分の弟妹たちがどこで何をしているか、何をしようとしているか、何となくではあるが確信が持てた。弟妹達には秘密だが。
「おかえり。ビール、頼んどいた」
「ん」
大好きな妹に目を細めながら、田中はグラスを持つ。
「とにかく、兄ちゃんのおかげで収容任務も上手く行ったし、今日はあたしがおごるから!乾杯!」

任務?

何の事だろう。それにこんな事、前にも、あった、よう、な。

何かの違和感を感じながらも、田中は妹に促されるまま、その黄金色に泡立つとても冷えた液体を口に含んだ。

そして、

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