1972年6月2日付会議録
評価: +3+x

ワシントン ホワイトハウス 大統領執務室
1972年6月2日
出席者:
リチャード・ニクソン(合衆国大統領)
ヘンリー・キッシンジャー(国家安全保障問題担当大統領補佐官)
アレクサンダー・ヘイグ将軍(国家安全保障問題担当大統領補佐官)
エージェント・グレゴリー・サックス(GOC)
トーマス・モーラー提督(統合参謀本部議長)
ジョン・C・メイヤー将軍(戦略航空軍団指揮官)


ニクソン - トム,ジョン,お二方はよく来てくれた、お礼を言いわせてもらおう。

モーラー - いやはや、ミスター・プレジデント。サミットでのご活躍に賞賛を、そしてよく帰ってくださった。

メイヤー - ミスター・プレジデント、私からも祝辞を加えさせてもらう。ざっくばらんに言って、閣下、ABM(弾道弾迎撃ミサイル制限条約)やSALT(戦略兵器制限交渉)があってこそ、これから枕を高くして寝られるというものですな。

ニクソン - 君がそんなのことを云うなんて冗談みたいだなジョン。ニューヨークタイムズの反戦運動なんぞしているブン屋どもの思い通りになったわけだ。もう我々はロシア人を何とかする用意は出来ていた筈なのにな。君には爆撃機やミサイルがあるんだから。まあ、そんなことをしたあかつきには、君の仕事は何も残らない、毎日ゴルフやっているぐらいだけさ。そうじゃない、あー、私が君たち紳士諸君をここに呼んだ理由は……あー、アル?バインダーは何処だ?

ヘイグ - 閣下、こちらに。

ニクソン - 諸君、若干の情報が明るみに出た。そいつに基づくと、あー、私がロシアに行くまえから、行っている最中、爆撃機とICBMの優先目標のリストに追加があった。

モーラー - 少々、時間よろしいかね、ミスター・プレジデント。あいつは誰なんです?

サックス - 提督、私は……[判別困難]

ニクソン - そいつのことは心配はいらんよ、トム。彼は大丈夫。

メイヤー - ミスター・プレジデント、謹んで閣下。ペンタゴンにいつも通り打電し……

キッシンジャー - [判別困難]は非常事態なんだ……

メイヤー - [判別困難]……注文は以上だ。

ニクソン - 私はこのことが君たちの規則からの逸脱だとわかっている。どうか各自これを精読してもらいたい。これは変わったケースだ、そして間違いがないか確認してくれ。転写に誤り、その他もろもろ不都合は無いということは確認しただろうか。ハンク、用意はいいかね?

キッシンジャー - ケース・コールド・ハーパー。皆様方が知る術はなかったかと思います。こちらは、ケース・コールド・ハーパー勃発の際の、SAC(戦略空軍)への指示です。これが爆撃機のリスト。そしてこれはICBMの発射台の一覧。ここには通常のフォーマットでターゲットの座標がここに書いてあります。貴方はこれから……

メイヤー - 私は分からんな。発射台と同じ座標が下にツラツラとあるんだがなあ……

モーラー - リストの一部は、将軍これは、アンダーセン空軍基地かね、えーと、グアムにあるんだったな。そしてクラーク、フィリピンにある。ここなら、被害が……

メイヤー - そこまでだ、ああ、正解だ、トム。どういう事だ?

ヘイグ - [判別困難]……ケース・コールド・ハーパー危急の際……

ニクソン - いいか、ハンク、これが君達本人をここに呼び寄せた理由だ。提督、将軍、これは間違いではない。もし我々がコールド・ハーパーを指令するとき、その時は、あー、その時は、ターゲットはこの場所のようになる。

メイヤー - [判別困難]……どこだ、北極海か。

モーラー - 北緯73度なにがしと東経54度なにがしだな。地図を確認させてもらおうかね……ここは海ではない。ロシアの大きい島だ。ノヴァヤゼムリャだ。

メイヤー - ……50メガトンだったか……、フルシチョフが61年に落とした奴は。ツァーリ・ボンバ、連中はそう呼ぶんだろう。たしかここに連中は落としたんだ。

ヘイグ - ……U-2の撮影した当地の写真を見せ……。

メイヤ - 我々は試験場を爆撃してしまえと?そんな事は……

キッシンジャー - [判別困難]……必ずしも訓練場では無……

モーラー - すまんが、何と?

キッシンジャー - これは必ずしも訓練施設ではないといったのです。ゴミ焼却炉といったほうが適切でしょう。厳密な法解釈に従った場合なら、これはソビエトの施設ですら無いのです。

サックス - キッシンジャー博士、私はそうは……

ヘイグ - ミスター・プレジデント、指摘致しますに、メイヤー将軍はリストに含まれていませんし、それにモーラー提督は……

ニクソン - アル、彼らの仕事ができるように、十分に知ってもらわなけれなならないのだ。

ヘイグ - 閣下、同意します。いえども[判別困難]

メイヤー - 何のリストだね?すまないね、戦略航空軍団指揮官すらも把握できぬような高いクリアランスがあるなんて聞いたことがなかった。それに、キッシンジャー博士の横の男が誰かすらも教えてもらえ無……

ニクソン - これから私から話そ……

ヘイグ - ミスター・プレジデント、これは実に[判別困難]

ニクソン - ……いや、全てではない。彼らが必要としていることだけだ。

モーラー - [判別困難]輪から少々離れ……

ニクソン - 提督、将軍、私はこれだけ言えば十分であると思うのです。そこにはその……オブジェクトがそこにあるのです。言いましょう、島のこの地点です。これらの目標指示は不測の事態だ。もし私……最高司令官がもし、コールド・ハーパー発動を指示すれば、キリストの加護あれば、トリガーを引くだけで完了することでしょうし、それから……

メイヤー - ……それからそのサイトが優先目標になる。

ニクソン - ……それだけがターゲット。優先目標ではない、ターゲットはそれだけだ。

モーラー - 閣下、我々に三機、四機の、待て待て……全機、我々の持つ全ての爆撃機の……全ての大陸間ミサイルの……

キッシンジャー - 左様でございます、提督……

モーラー - ……目標をここに定めよと……

メイヤー - 閣下、指示通り爆撃機を発進させて、ここにある何かを爆撃した時、この積載量でありましたら、ターゲットは消し飛びますぞ。閣下、私としては、これは……

モーラー - ……ルメイ[カーチス・ルメイ,空軍大将]ですらもこんなことは……[判別困難]

メイヤー - ……[判別困難]は片道旅行になりうる。この範囲なら、兵士は……

ニクソン - 直視してくれ、トム、ジョン、私はこれが必要なのだということは、すでに納得している。

モーラー - 誰があそこにいるとしても、閣下は我々に阿鼻叫喚と殺戮を引き起こすことをお望みなのでしょうか。

ヘイグ - 仮に時が来たら。私は金輪際そんなことは望まない。そこにいる多くの人々は我々のものだ。いや、彼のか?ともかくだ。

メイヤー - 構わないとして、それからどうなる?

サックス - 私共はそれ……オブジェクト、大統領がそう仰った物を監視して居るのですよ。それを何とかする十分な方法を見つけられるまでね。

モーラー - 処分計画というわけかね?その……何かしらの?

ニクソン - これはプランBだ。Aに打ち消し線を引かなきゃならん時まで、言わば、彼らが何とか出来ている限り、行われることはない。

メイヤー - 謹んで閣下、我々はどのように軍事訓練をすればいいのかわかりませんな。我々はラインバッカー1に全力を注いでいる中であり……

キッシンジャー - 将軍、第一に、コールド・ハーパーの存在は、オペレーショナル・セキュリティの制限の強さにより……コールド・ハーパー自体がフォックストロット-レベルに分類されているために、軍事訓練は一切出来ません。何人たりとも、たとえSACの司令部でも、フォックストロット-レベル承認を受けたものは居ない。勃発の際、しなければならないことは、目標に航空機の、ミサイルの狙い定めることです。これらの指示に従って。第二に、もし……

ニクソン - ヘンリーが言わんとすることは、コールド・ハーパーが始まったなら、糞ラインバッカーやら、糞南ベトナムなんざ、重要ではなくなるということだ。

モーラー - しかし、そうなればソビエトに対する核抑止力を失うことに……

ヘイグ - それは問題ではない。彼の国はすでに……

ニクソン - ロシアでは事がすでに始まっている、

メイヤー - ソビエトは、あー、身内を爆撃したというのか?

キッシンジャー - 左様、連中の自己判断で……

サックス - 厳密には、彼らが爆撃したのは私共の身内です。ですが、こんな状況ではそれは重要ではないのです。

メイヤー - 私は尋ねばならない。私は本当に答えを知らんのだ。君は我々側なのか?どうだ?いや、君はロシア人でもなければ……

サックス - ジョージア州のアセンズ出身ですよ、将軍。ゴー・ブルドッグス2ってね。

メイヤー - それが一体全体なんだって言うのかね……

モーラー - 我々の持つ全ての核、戦略的核戦力を此処につぎ込めば、跡に、煙と赫々たるクレ―ターを除いて、ソ連に何がのこるというんだ?

キッシンジャー - 提督、戦略的核戦力の全てでは御座いません。ミサイルと爆撃機だけだとでも?サブには……

ニクソン - 爆撃は我々のノア──Noah──として必要なのだよ、ノアについて二三日中には君とエルモ・ズムウォルト3に別で説明する。

メイヤー - ノア──NOAA(合衆国海洋大気庁)──、民衆に天気予報でもするのか?

キッシンジャー - ノア──Noah──は方舟ですよ。日曜学校で教わっていらっしゃいませんか?百獣番いて這入り……

ヘイグ - [判別困難]……種子と凍結受精卵、大方……[判別困難]の場合……ミサイルには部屋を……

ニクソン - ノアについて話す用意はまだ出来ていいないんだ。今は、目標について話をまとめたい。モーラー提督、メイヤー将軍、誓って、私はこの事については考えぬいての末なのだ。将軍、整理してくれ。加えて、御二方、来てくれて有り難う。

モーラー - こちらこそありがとう、ミスター・プレジデント。

[モーラー提督、メイヤー将軍、会議を去る。]

ニクソン - 少し、話がまとまったかな。満足かね、エージェント・サックス?

サックス - ええ、ミスター・プレジデント。私はこれを……[判別困難]に持ち帰りますよ。

ニクソン - ああ、来てくれて有り難う。そちら方によろしくな……私は、君たちの素晴らしい仕事を評価していると。

サックス - もちろんですよ、閣下。有り難う、ミスター・プレジデント。

[エージェント・サックス、会議を去る。]

ニクソン - 有り難う、アル。ヘンリーと私だけにしてくれるかね?

ヘイグ - はい閣下、承知しました、ミスター・プレジデント。

[ヘイグ将軍、会議を去る。]

ニクソン - ドブルイニン大使4は捕まえなければならない、彼にも話さなければ。それとも、グロムイコ[ソ連外務大臣]に直接話すか?

キッシンジャー - グロムイコに直接話しましょう。行政府ビルに戻るなり、グロムイコに電話をかけます。

ニクソン - なあなあ……ヘンリー、そんな焦れったいことをするな。連中は大局を見ようとはしないんだ。

キッシンジャー - フェアのために、ミスター・プレジデント、GOCとフォックストロット、それにソビエト版のフォックストロット、まあ連中がそれをなんと呼ぶにしても、それらは別にして考えなければなりません。連中は知らないのです、その……

ニクソン - 連中は知らない。ある意味妬ましかろう。

キッシンジャー - 大統領から話を聞いた時、私はしっかりと理解しませんでした。いや、サックスとヤクボフスキー元帥(ソ連元帥。ソ連邦英雄。)に先週そこに連れて行かれ、見るまでは……

ニクソン - 君はアレと一緒に過ごすことになるかもしれない……

キッシンジャー - [判別困難]……信じ難い。連中は一体何度爆撃した、それでも。それでも、たとえツァーリ・ボンバですらも、敵わない……[判別困難]

ニクソン - ……64年と65年、ジョンソン(空軍基地)は爆弾を分けてやらねばならなかった。連中の在庫が底を突き……

キッシンジャー - ……[判別困難]は私が眼を閉じる度、それを見続けているのです。

ニクソン - 1959年、私がロシアに言った時、連中は私を連れてアレを見せた。キッチン討論(the Kitchen Debate)の二三日後だ。……知っていた、たしかにそれを知っていた。彼(フルシチョフ)はそこに行くよう私に頼んだ。彼は私に用意ができている個どうか見極めたかったのだろう。ウィスキーを渡してくれないか?

キッシンジャー - 注がせて下さい。そして私にも。

ニクソン - [笑う]ああそれ、もっと高いの、そのビンの後ろのやつをくれ。そのよう、私はあの旅行の前は余り酒をやらなかったんだが。だが君も酒をやるんだ、君だって重課に……

キッシンジャー - 彼らはあのサイトに、毎日居なきゃならなんのです。

ニクソン - [判別困難]……この世で最も勇敢な天晴な野郎どもだ。特にあの男、あー、ヴァシーリー、眼帯の男。彼はまだそこにいるのか?

キッシンジャー - 大統領が私に話してくれたんですよ、私が尋ねたのです。彼はまだ記帳上、そこに割り当てられたまま。しかし殆ど鎮静剤漬けにされている。

ニクソン - それは悪かった。連中は彼はスターリングラード、ベルリンにずっと居たんだ。だがそんなこと……いや驚きではなかった。

キッシンジャー - [判別困難]

ニクソン - その、知っているだろう……[判別困難]……中国、そしてベトナム、その他残りの全てをつぎ込む。

キッシンジャー - [判別困難]……つまり何と、大局的には?

ニクソン - 大局、確かに。そうか、そういうわけで苛ついていたわけだ。ヒルと叫び立てるクソ学生どものマヌケ。連中が、我々、GOCと我々皆がしていたことをしったら、連中は毎日パレード騒ぎだ。くそったれな像を建て、ありがとうを言う、連中は……[判別困難]

キッシンジャー - 少なくとも、ブレジネフとグロムイコが、あなたに感謝することもありえるでしょうね、気分転換に。ロシアは認めた、連中は我々の援助を必要と……

ニクソン - 感謝といえば、ロシア人には言わないが、少なくとも連中、連中とGOCそれを箱に入れたままにしている。……[判別困難]、もし起これば、君はコールド・ハーパーで十分な対処だと考えるか?

キッシンジャー - サックスは言いました……向こう方が考えるには……[判別困難]……最小限にするための悪い選択なんです。現在まで他の悪い選択肢をした、思い出せて下さい、私はあなたにそのケーブルを、[判別困難]博士からのケーブルを……彼が言うには[判別困難]収容方法。

ニクソン - これ以上悪いアプローチを考えたいとは全然思わないんだ。あのマヌケなインテリ共が持って……

キッシンジャー - コールド・ハーパーで不足な時、まあ、それがあなたと私にとってどうしたっていうんです。ノアの方舟にお乗りにならないのです?

ニクソン - なんだ、ユダヤかブラック・ジョークか?

キッシンジャー - ミスター・プレジデント、我々が脱出する時間は多分にあるのです。

ニクソン - ああ、我々を皆でボート中に、ハンク。


特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。