Urban Legends
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俺の前で都市伝説の話をするんじゃねえ。この仕事を続けたいなら、もっと分別ってものを身につけるんだな。

どういう意味かだと? あのな、都市伝説ってのはただの作り話じゃねえんだよ。いやまあ、全部が全部ってわけじゃないがな。例えば、ギャング相手にヘッドライトをパッシングすると殺されるってのは、もちろん嘘だ。だけどな、中には洒落にならねえ都市伝説も多いんだよ。なら、どうしてそのことが世間に知られていないのかって? スキップのことだって誰も知らないだろ。こういう仕事をしてるのは俺たちだけってわけじゃないんだぜ。

いいや、俺が言ってるのはマジな話だ。よし、じゃあ俺が都市伝説の恐ろしさを知ったときの話をしてやろう。

少し前のことだ。俺はニュージャージーでエルフを捕まえる仕事をしてた。ああ? 背が低くて耳がとがってて、キーキー喋る奴らだよ。それ以上はよく知らねえ。本当にエルフだったのかって? まあ、多分違うだろうな。少なくともクッキーは焼いてなかった1。本当は何なのか気にならないのかって? 別に。いちいち話の腰を折るんじゃねえよ。

それでだな、ある日の仕事を終えた後のことだ。俺は街の、ちょっと危ない一角にある店に酒を飲みに行った。そういうところに行くと落ち着くんだよ、故郷を思い出してな。で、店にいい女がいたから、俺はその女に一杯おごってやった。それから何だかんだ話が進んで、女の家に行くことになった。いや、そりゃ確かにプロらしい行動とは言えないがな、オフのときに何をしようが俺の勝手だろ。黙って聞いてろ。

女の家で一緒に酒を飲んで、話をして、そこで俺は急に意識が遠くなるのを感じた。バディ・ホリーとビッグ・ボッパー2の飛行機もかくやってくらいの勢いで、俺は一気に落ちて気を失ったんだ。次の展開が読めるだろ。

そう、目が覚めたら氷水と一緒にバスタブに入れられてた……って、それが違ったんだよ。まあそりゃ、向こうは人の腎臓をえぐり出して盗もうってんだから、こっちを生かしておく理由なんかねえよな。もう顔だって見られちまったわけだし、殺したほうがいいに決まってる。

ああ、その通りだ。俺は今もこうして生きてる。よくわかってるじゃねえか。なら、奴らが何を見落としていたのかもわかるだろ。俺は体重300ポンド、身長7フィート弱。このガタイを眠らせるのはそう簡単じゃない。まして、ずっと眠らせたままにしておくのは至難の業ってわけだ。脇腹に激痛を感じた俺が目を覚ますと、誰かが俺をメスで捌こうとしてるところだった。俺は瞬時に反応して……疑うんじゃねえよ。さすがに最高のコンディションってわけじゃなかったがな、俺は財団のエージェントだぜ。で、相手は何人いても素人どもだ。それからどうなったのかは、言わなくてもわかるだろ。

だから、俺の前で都市伝説の話をするんじゃねえ。

まあ、お前も油断はしないことだな。そのうち、手がフックになってる男に出くわすこともあるだろうさ。

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