これぞ愛、第一部
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「暖かく湿っている」

By ライツ博士

SCP-542、軍医殿は7フィート2インチに達する背丈で堂々としていた。それが腰掛けた状態で、最近入れ替えた足の骨が更に背丈を押し上げ、奇妙に曲がった肋骨と膨れた腹の苦しさによって背中を丸めていても。腕は膝に沿っていたが、身振りのためにひっきりなしに動き続け、細い指は、本に巻きつけられて椅子の肘掛けをコツコツと叩いている。
彼は不揃いな目を上げ、物思いに耽ると、満面の笑みを浮かべ文字通り顔いっぱいに裂けていた唇をすぼめた。

す…すまない。君が話して欲しかったのは何について…だったかな?

いやいや、大丈夫だ。君がテープレコーダーを持って入ってきた時からこの最も奇妙な会話をしなければならないと予感していたんだ。そして、これについて語るのに何かを明かす必要はないんだ。Ja?

愛…私には答えられる気がしない。まさしく、私にとって何が愛なのか。Liebe

わかるだろう…その感覚が。とても愛している人が自分に触れてきた時だ。そうじゃない、ああ、そうだ…問題は場所や時間じゃない。触れることだ。その手が君の肩か、その指先が優しく腰のくびれをなであげるんだ…これこそ生きた細胞組織の感触だ。かつて肌を通して本物の肉体の動きに触れたことがあるだろう。それは…そう、とても実在感があって、拒むことが難しいんだ。

…私は素直に驚き、感動した。もっとも、この時点でほとんどの人は席を立つだろうがな…

おお、そうか。続けよう。

私は愛の営みへの衝動を長い間忘れていた。あー…だからといって私が契りを交わしたことがないということを意味するわけではないんだ。異なる方法でだが。
私の大切な友人の一人が…君、そんな目で見ないでくれ。私でもまだ友人を作ることはできるんだ、そうだろう。だが私の大切な友人は…事故にあったんだ。お粗末な事故に。
彼女の内臓は飛び出していて、裂け目が鎖骨から骨盤まで開いていた。その時周囲はみんな彼女が死んだと思って見放した。だが私には…できなかった。

私が彼女のそばにひざまずくと同時に、彼女は微笑もうとした。彼女の横隔膜は、当然だが、ひどい傷を受けていた上に、片方の肺が引き裂かれていた。だから彼女は実際に喋ることはできなくて、それでも私はどうにか唇の動きを読むことができた。
彼女は私に―“Mein Herz ist jetzt deins”と言った。

「私の心はあなたのものよ」

既に私は・・・それを認めていた、彼女が私のそばで警戒を緩めようものならば、私は彼女の胸から心臓を抜き取っていただろう―ああ、なんというschönes Herzだ、完璧かつ美しい音で、常にしっかりと鼓動するのだ。たとえ彼女が恐れおののいていたとしても。

認めよう、私は誘惑されていた。彼女はひどく傷ついてる。哀れ筋肉も肉も真っ二つだ…だが、他の誰もが彼女を元通りにしようとしなかったとしても、私にはそれができるとわかっていた。mein Gott, わかっていたんだ。

一番の傷は胸だった。肋骨、あれはひどいかった…胸骨は押しのけられ、肺の中だ。幸運なことに、ワイヤーも糸も私が大量に持っていた。まったく。私は出来うる限り彼女の肺の傷を治した。肋骨は全体をワイヤーで元の位置に固定する必要があった。それは完璧な仕事とは言い難かったが、後ででまたできる。さしあたって、私は彼女が失血死するまで生かし続けておけばよかったんだ。

Was? ああ…そうとも、私は詳細をごまかすことができるよ。君がそうしろと言うなら。そうだな…彼女は生きていると言える。あれから3年経って、彼女は生きている。

愛?

…愛とは彼女の中にいた時のことだ。

違う、そうじゃない。君、説明しようとしている時にそんな目で見ないでくれ。まったく。

彼女の全身を感じると、すごく生き生きとしていて、まだ生きている、彼女が助かるかもしれないとわかったんだ…
静かに彼女の破けた腸を縫い合わせている時、また私が彼女の止まりかけた心臓に再び動くよう説得している時…これこそが愛だった。それはまさしく、契りを交わすことにも匹敵した。悦びではなく、感情としてだ。
優しく体を閉じ合わせ、彼女が自ら呼吸する様子を見ることはこれ以上ないと言っていいほどの喜びだった。

愛とは…Heiß und naß. 愛とは暖かくて湿ったもの。生きて鼓動すること、動くこと…紅潮することと―

…気分が悪そうだな。止めにしようか?既にほとんど終わっているがね、Ich verspreche. フッ。

わかっただろう…突き詰めれば私たちの愛の解釈にそれほどの違いはないんだ。
最初のうちは柔らかく、優しく触れ、そして何かを深く探る…もっと親密に。
それが生身を通してのものかどうかにかかわらず。
間もなく全ては暖かく湿って、生き生きとする。

…トマトの色になっているぞ。止めにしてチェスをしよう、mein Doktor.
今度は何を賭けるんだろうね…
その可愛らしい目をテーブルに載せようか。
駄目?では…次の時に?ja?

本当に優しくするよ。知っているだろう。

まったく、Heiß und naß だ。

今度は真っ白になってるぞと言ってやろう。

[注意―これを読み直した(私とは違って)ある程度ドイツ語に詳しい友人が時間をかけて細かく編集しました。]

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